決戦前々夜
佐多岬からさらに南下して、種子島の南東を通り、馬毛島を通り鹿児島空港に戻る。今日は、秋晴れがずっと続き、霧島連山の山肌がはっきりと見える。最高の天気だ。
馬毛島は、何かと最近話題の島であり、滑走路の形に舗装されている。その上空を通過した。鹿がいたるところにいる。馬毛島なのに、鹿島だ。自然ドキュメンタリー番組に出てくるような、大地を動物達が走っている感じの絵だ。美しい光景だった。この島が開拓されれば、彼らも行き場を失うことになるのだろうか。
今日の桜島は完璧に見えた。不思議だ。僕は、鹿児島に来て、鹿児島の空を飛んでいる。こんな未来は、誰にも想像つかなかった。まぁ、改めて面白い人生だ。
さて、試験が近くなってきた。生活のほぼ全てにアンテナを張って過ごしているので、中々エネルギーも使う。どんな些細なことも蔑ろにはできない。
事務の方が、台風で天気が心配だね。と仰っていたので、僕は、それくらいがちょうどいいハンデです。と笑いながら返した。勿論、自分の力に自惚れる程愚かではない。
あえて、そう言ったことで、僕はさらに天気に、フライトに、判断に、細心の注意を払うことになる。
ビッグマウスは、臆病者であってこそ意味をなす。
臆病であれ。ただし、それを口にはしない。あくまで、言葉は善のものを吐く。それが、現実になるからだ。その奥底に潜む恐怖には囚われず、サクッと切り替えていこう。切り替えるためにも、言葉がいるのだ。時にビッグマウスは、それを助けてくれる。
さぁ、やってやろう。