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カン

 感は磨いていけるものなのだろうか。今日は、計器過程の先輩のフライトがあって、オブザーブをしたかったけれども、他の計器の過程の先輩もオブザーブでいたので、残念だが今日は辞めておこう、まぁ、しゃぁないな、次の機会だな、と思っていた。教官が教室に入ってきて、ブリーフィングが始まった。ブリーフィングの最後に僕の方を見て、乗る?と声をかけて下さった。僕はその一言でラッキーなことに乗ることができた。

何で分かるんだ?僕が乗りたいという気持ちが。挨拶を交わした程度だ。ほぼ、何も会話をしていない。それなのになぜ分かるのだ?あの一瞬で僕の感情を読み取ったというのか?不思議でならない。

 パイロットにとって、感を研ぎ澄ますというのは、とても大事なことだ。何かの変化に気付く能力を養うこと。その一歩として、人間観察をしようと思った。表情を見て、仕草を見て、彼は一体何をしようとしていて、何を求めているのか。そういう目がもてるようにしよう。

その教官が今日の最後にある生徒にこう言った。

パイロットなんだから、すぐ決める。

日常の会話の中で、何か決定を迫られた時は、秒で決めることにした。

例えば、友達にご飯何が食べたい?と聞かれる。秒でカレーライスと答える。たとえカレーライスがそこまで食べたくなくともだ。何時に集合にする?と聞かれる。8時に集合とすぐ答える。

カンは、もしかしたら決定スピードの速さによって磨かれるのかもしれない。答えは分からないが、自分なりに見つけて行こう。