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自分褒め

 つい先日、自分の発言に自分でも少し驚いたことがあった。訓練生と訓練について話している時に、僕はこう笑いながら発言した。

本当に僕はよく頑張ってると思いますわ。自分で自分を褒めてあげたい。

と、こう言った。言った後に、あぁ、僕もこんなこと言えるようになったんだ、と驚いたのだ。それは、自分の努力を人にひけらかすなどの意図はなく、ごくごく自然に自分を褒める発言が湧き出てきたのだ。自分で自分のことを褒めるなど、数年前の僕では考えられなかった。当時は、自分で自分を追い込んで、自信もなく、どうして俺はこんなに人より劣っているのだろう、と嘆く自分がいた。

だが、今や自信がつき、自分で自分のことをよく頑張ってるね、と褒められるようになったのだ。

アメリカの教官が言っていたことで、今でも心の支えになっている言葉がある。教官は、こう仰った。

何よりも大切にしなきゃいけないのは、自分だよ。

と。そして、あまりに自分で抱え込んでしまう僕に対して、続けてこう仰った。

永瀬くんの場合は、何か起こっても全部人のせい、他のせいにしなさい。フライトが上手くいかなかったら、風のせい。通常はこういうアドバイスをしないけど、永瀬くんの場合は特別。

僕はこの発言で肩に背負った重しがいっきに解き放たれたようだった。自分のせいにしてばかりで生きてきたけど、人のせいにしてもいんだ、そんなことできるんだ、と。

そのアドバイスのおかげで、心のベクトルを外にすることができた。外にすると、心が軽くなり、結果自分で自分のことを褒められるようになったのだ。今は、何か起きても、外的要因、自分が引き起こしたもの、の分別がつくようになった。だから、まぁ、しゃぁないよね、こういうこともあるよね、ぐらいポップに物事を捉えられるようになったのだ。

本当にあの人には感謝してもしきれないなぁ。何か起きたら、必ず駆けつけよう。駆けつけらるだけの力を蓄えておこう。だから、絶対エアラインパイロットになるのだ、僕は。