竹内まりやの10年分を詰め込んだ『Precious Days』

 10月23日、竹内まりやのニューアルバム『Precious Days』が発売される。前作『Denim』から実に10年ぶりだ。つまり、このニューアルバムには竹内まりやの10年分の軌跡が収録されているということになる。
 プロジェクトのスタートは、2015年。それ以来、シングルCDのリリースだけではなく、CM曲の制作、楽曲提供、配信ライブなど、様々な活動を行ってきた。今回のアルバムはその集大成である。
 プロデューサーである山下達郎がライブツアーや自身のアルバム制作のために、竹内まりやの楽曲制作に関わることができなかった時期も多い。そのため、今回のアルバムでは山下達郎以外のミュージシャンがアレンジに関わる比率が大幅に増えている。
 企業やメディアからの依頼に応じながら音楽を作り続けてきた10年間を、ニューアルバムに収められた楽曲を中心としてここに時系列で整理してみる。

2015年
「Smiling Days」(2024 New Remix で収録)
 10月、ベルメゾンのCM曲としてオンエアされた。当初は「Smiling Days~ほほえみの日々~」というタイトルだった。

2016年
「今日の想い」(2024 New Remix で収録)
 4月放送開始の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」(テレビ東京系)のテーマ曲だった。4月27日に配信リリース。アレンジは牧戸太郎。牧戸は、2014年の「アロハ式恋愛指南」やこの年に嵐に提供した「復活LOVE」でストリングスアレンジを手がけている。

 「LET IT BE ME」(2008年のベスト『Expressions』収録)がフジテレビ系ドラマ「早子先生、結婚するって本当ですか?」(松下奈緒主演)に起用され、4月20日に配信リリースされた。6月公開の松竹系映画「嫌な女」の主題歌として「いのちの歌」が起用された。

2017年
「夢の果てまで」
 11月公開のアニメ映画「劇場版はいからさんが通る 前編~紅緒、花の17歳~」の主題歌。声優の早見沙織が歌い、11月8日にCDリリースされた。
 アレンジを手がけた増田武史は、みつきの「夏のモンタージュ」(2008年)や松田聖子の「特別な恋人」(2011年)、竹内まりやによる「特別な恋人」のセルフカバー(2014年)など、過去の竹内まりや作品でもアレンジを担当している。
 今回のニューアルバムに収録されたセルフカバーは、オリジナルと同じ増田がアレンジを手がけているほか、早見がコーラスで参加している。

 なお、この年、『REQUEST 30th Anniversary Edition』がCD、アナログ、配信でリリースされた。NHKBSプレミアムドラマ「定年女子」(南果歩主演)に「もう一度」が起用された。

2018年
「小さな願い」(2024 New Remix で収録)
 
10月公開の映画「あいあい傘」(倉科カナ主演)の主題歌。監督・脚本の宅間孝行は、2024年に竹内まりやが主題歌を手がけたドラマ「素晴らしき哉、先生!」でも脚本・演出を手がけた。10月17日にCDリリースされた。
「今を生きよう (Seize the Day)」
(2024 New Remix で収録)
 10月放送開始のNHKドラマ「ぬけまいる~女三人伊勢参り」の主題歌。10月17日にCDリリースされた。

 11月18日、初のファンミーティングを開催。11月21日から翌年にかけてCA/RVC時代のカタログを新装リリース。11月23日、ライブ・ドキュメンタリー映画『souvenir the movie~MARIYA TAKEUCHI Theater Live』が公開。
 なお、この年、テレビ東京の新春ドラマスペシャル「娘の結婚」の主題歌として「人生の扉」が、映画「ピース・ニッポン」の劇中歌として「いのちの歌」が、それぞれ起用された。また、前年の映画「はいからさんが通る」の後編が公開され、竹内まりやが書き下ろし早見沙織が歌った主題歌「新しい朝(あした)」がCDリリースされた。

2019年
「ベイビー・マイン」
 3月公開のディズニー映画「ダンボ」の日本版エンドソング。3月22日に配信リリースされた。4月25日にCDリリースされたオリジナルサウンドトラックにも日本盤のみのボーナストラックとして収録された。アレンジを手がけたのは、スウェーデンの作曲家、アンデーシュ・ダンヴィーク(Anders Dannvik)。
 9月4日発売のアルバム『Turntable』には英語で歌唱したバージョンが収録され、9月18日には配信リリースもされた。
「旅のつづき」(2024 New Remix で収録)
 10月公開の映画「最高の人生の見つけ方」の主題歌。10月9日にCDリリースされた。アレンジは、牧戸太郎が手がけている。

なお、この年、AbemaTVドラマ「1ページの恋」の主題歌に「ミラクル・ラブ」が起用されている。

2020年
 前年暮れのNHK紅白歌合戦で歌唱した「いのちの歌」のスペシャル・エディションをCDリリース。アルバム『Turntable』の購入特典として限定ライブが企画されたが、感染防止のため中止となった。映像作品『souvenir the movie ~MARIYA TAKEUCHI Theater Live~』がリリースされた。NHKの番組「コントの日 2020 新しい生活」に「ズブズブと森のおともだち」を、広末涼子に「キミの笑顔」を楽曲提供した。

2021年
『LIVE Turntable』
 2月、中止になったライブの代替措置として、当選者限定の無観客ライブ『LIVE Turntable』が配信された。(収録は前年11月。)今回のデラックス盤には、この中から10曲が収録されている。
「All I Have To Do Is Dream(Duet with 山下達郎)」
 この『LIVE Turntable』で披露された山下達郎とのデュエット曲が、アルバムにも収録された。エヴァリー・ブラザーズのカヴァー。
『LIVE Turntable Plus』
 
5月、『LIVE Turntable』に未発表ライブ6曲を加えて一般向けに配信された。今回のアルバムのデラックス盤には、その6曲すべてが収録されている。
「Watching Over You(Duet with 杏里)」
 10月放送開始のドラマ「和田家の男たち」の主題歌。作曲・編曲を林哲司が手がけ、Peach & Apricot名義で11月4日に配信リリースされた。

 なお、この年、カルバンクラインWEB CM曲として「プラスティック・ラブ」が、アサヒ生ビールCM曲として「元気を出して」が起用された。

2022年
 『Quiet Life 30th Anniversary Edition』がCD、アナログ、配信でリリースされた。映画「いつか、いつも••••••いつまでも。」に「幸せの探し方」が起用された。Kinki Kidsに「Midnight Rain」を提供した。

2023年
「Brighten up your day!」
 4月放送開始の情報バラエティ「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)のテーマソング。12月20日に「君の居場所」とのカップリングでCDリリースされた。
「TOKYO WOMAN」
 11月に放送された深夜ドラマ「TOKYO WOMAN」(フジテレビ)の主題歌。BOXの2012年作『MIGHTY ROSE』に収録された曲のカヴァー。CDリリースはされていない。
「君の居場所(Have a Good Time Here)」
 12月に配信開始されたNetflix映画「ポケモンコンシェルジュ」の主題歌。12月20日にCDリリースされた。

 なお、この年、20th Centuryに「恋はこれから」を楽曲提供した。

2024年
「Days of Love」
 5月からエアウィーヴのCMソングとしてオンエア。
「Coffee & Chocolate」
 6月から朝日生命のCMソングとしてオンエア。
「歌を贈ろう」
 8月放送開始のドラマ「素晴らしき哉、先生!」(テレビ朝日系)の主題歌。ドラマ主演の生田絵梨花がコーラスで参加し、MVにも出演している。8月28日CD発売。

その他
「Subject:さようなら」
 2011年に松浦亜弥に提供した楽曲のセルフカヴァー。松浦がコーラスで参加している。アレンジを手がけているのは、松浦版と同じ鈴木俊介。
「遠いまぼろし」
 杉真理の作・編曲。詞は竹内まりや。
「May Each Day」
 アンディ・ウイリアムズの1963年のアルバムに収録されていた曲のカヴァー。アレンジは服部隆之が手がけた。

 以上、この10年の竹内まりやの活動を時系列で追ってきた。改めて感じるのは、竹内まりやがコンスタントに活動を続けてきたという事実だ。オリジナルアルバムとしては10年ぶりだとしても、一線から身を引いていたわけではない。常に必然性のある形態で私たちに音楽を届け続けてくれた。その集大成として、ひとつの作品がここにまとめられたわけである。


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