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【イベントレポート】Heart Driven School #9 ~リモートワーク革命到来!ポストコロナのスタートアップ組織を考える~

開催の背景

コロナ禍でリモートワークを推奨する企業が増えてきている今、突然変わった働き方や環境に戸惑いや不安のあるスタートアップ経営者、起業家の方々は多いのではないでしょうか。
「リモートでどうやってメンバーをマネジメントするの?」「リモートで採用決定できる?」「今後はオフィスとリモートワークの比率どうする?」「そもそもオフィスって必要?」など多くの声を耳にします。

そこで今回、コロナ以前からリモートワーク下で組織をマネジメントしてきた2社、株式会社overflow代表取締役の鈴木裕斗氏と株式会社Natee代表取締役の小島領剣氏をゲストに迎えて、ポストコロナの組織マネジメントについて議論するイベントを5月14日(木)に開催しました!

今回も当日のお話をレポートでお届けします!

登壇者の紹介

鈴木 裕斗(すずき ゆうと)
株式会社overflow代表取締役

株式会社サイバーエージェントに新卒入社。広告営業を経て、Amebaプラットフォームの管轄責任者に就任。
その後、iemo株式会社の代表取締役就任を経て株式会社ディー・エヌ・エーにM&A。iemo株式会社代表取締役とDeNAキュレーションプラットフォームの広告部長を兼任。2017年6月、株式会社overflowを創業。2018年よりエキサイト株式会社社外取締役を兼任。
小島 領剣(こじま りょうけん)
株式会社Natee代表取締役

早稲田大学卒業後ビズリーチにエンジニアとして入社し、新規プロダクトの開発に従事。「人類をタレントに!」というミッションを掲げ、TikTokに特化したMCNのNateeを創業。創業当初からリモート体制を推進し、2020年1月よりオフィスを解約、現在は社員17名、業務委託20名のチームをフルリモートで経営している。
熊谷 祐二(くまがい ゆうじ)
株式会社アカツキ Heart Driven Fund ヴァイスプレジデント

IT企業3社を創業したシリアルアントレプレナー。 2014年にiemo共同代表取締役就任を経て、同社をDeNA社へ売却。 2015年にスポーツテック事業を手掛けるSkyBall社を創業、2018年にアカツキへ売却するとともに、アカツキのesports事業責任者並びにProfessional Esports League(所在地: スペイン)の取締役に就任。2019年7月より、Heart Driven Fund ヴァイスプレジデントに就任。自身の起業・経営経験を元に主にシード期の投資実行、ハンズオン支援を手掛ける。

リモートワークとコミュニケーション

オフラインからオンラインへの移行で最も懸念されるのが「漠然としたコミュニケーション不足感」ですが、この点について、現在メンバー約270人のうち約80%がフルリモートで働くoverflow鈴木氏に説明してもらいました!

創発×創造
会社のパフォーマンスは「創発」と「創造」のバランスによって左右されます。
「創発」は必要なコミュニケーション。話している中で今までなかったアイデアが降ってきたりしますよね。
一方、「創造」は没頭の中で生まれます。没頭することによって生産性がアップし、パフォーマンスが向上。創造においてはむしろコミュニケーションは不要であると考えられます。

オンラインでは「必要なコミュニケーション」に集中できる!
組織には必要なコミュニケーションと不要なコミュニケーションが存在しています。例えば、事業計画やKPI進捗、個々人の背景理解などは必要なコミュニケーションですが、形式だけの定例MTGや愚痴メインの飲み会などは不必要なコミュニケーションに分類されます。
オフラインでは付き合いや関係性などによって、不必要なコミュニケーションも含めて取らないといけない!(コミュニケーションを選択できない。)という問題点があります。

一方、オンラインでのコミュニケーションはどうでしょうか?

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上図の4つのグループで、左上のグループ以外の3つはオフラインからオンラインへの移行で必然的に切り捨てられます(もう不要なコミュニケーションに悩まされる心配はない!!)。不要なコミュニケーションたちと同時に切り捨てられてしまった、右上の必要なコミュニケーション(ブレストや個々人の背景理解など)をオンライン上で取れるような工夫をすれば、オンラインのコミュニケーションはオフラインのコミュニケーションよりも質が上がり、生産性が向上するといえるでしょう!

コミュニケーションを生む工夫

次に、オンライン上でのコミュニケーションを活発化させるために各社が実際に取り入れている工夫について紹介します!

リアルと同じような距離感を再現できる「Spatial Chat」
今、話題沸騰中のSpatial Chat。簡単に言えば、zoomに「距離」の概念を取り入れたコミュニケーションツールです。ユーザーは仮想空間上でアイコンを移動させることができ、他のユーザーのアイコンに近づくとその人の声が大きく聞こえ、逆に離れると小さく聞こえます。声の距離感の概念を取り入れることで、実際のオフィスにより近い形のコミュニケーションをとることが可能になります。

ドキュメントツールを使って自己紹介
入社時に自分自身のバックグラウンドや好きなことなどをドキュメントとして残し、全社員がいつでも見れる状態に。
overflowではnotionというドキュメントツールを用いているようです。

ホワイトボードツール「miro」
Nateeでは、会社の価値観と個人の価値観をすり合わせることを目的として、ホワイトボードツールmiroを用いてオンラインでの社内ワークショップを開催しました。
これらのワークショップはオフラインじゃないと機能しないのでは?と思われがちですが、オンラインでも意外とうまくいったようです!

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雑談チャンネルを作る
オフィスで誰かと誰かが話している雑談が偶然耳に入ってきて、そこからアイデアの着想を得ることってありますよね。ただ、オンラインではこのような「偶然」を作るのは極めて困難です。そこで、Nateeではslack内に「雑談チャンネル」を作り、そこで発信したい人が発信し、リアクションするようにしているようです。

「さみしい」という気持ちをオープンに!
リモートで会話もなく一日中仕事をしていると、さみしいと感じる人も多いはず。
そんな時に「さみしい!」と表現できる人がいるとチームコミュニケーションが活性化しやすいのでは?という意見もありました。
オンラインで話せる場を作っても集まりが悪いことがありますが、「さみしい!」と言える人が中心になってメンバーを誘ってくれることもあるようです。

リモートでの組織マネジメントについて

迅速な意思決定システム
スタートアップ企業において重要なのは「意思決定の速さ」であると考えられます。そのためには、社員全員が数字をいかに速くいかに正確に理解するかが重要です。しかし、現場の情報を集め経営陣が判断し、それをまた現場に戻す、というフローでは必然的に時間がかかってしまいます。
そのため、overflowでは定例ミーティングを設置せず、スプレッドシートに経営や財務のデータを反映させ、現場の社員も含めた全社員がそれをもとにリアルタイムで判断し行動に移せる仕組みを構築しています。

日報&フィードバック
育てるべきメンバーに対しては、プロセスを管理してあげる必要がある、とNatee小島氏は考えます。そのために、今日やったこと、それがKPIにどのように影響を与えるのかをメンバーそれぞれに毎日振り返ってもらい、マネージャーがフィードバックをする、というシステムを構築しています。

リモートでの採用について

リモートでの採用面接ってどうやるの?という疑問を抱く人は多いのではないでしょうか?

overflowではユニークな採用システムを適用しています。その名も「副業転職」。数回会うコミュニケーションで、長期コミット前提の正社員を採用するこれまでのスキーム自体が実はリスクが高いと考え、「副業転職」というシステムを適用しています。
とりあえず全員に「副業」という形で月に10~20時間入ってもらい、それを3か月続けてもらうことによって時間をかけてその人が会社にフィットできるかを判断します。入社前の段階で会社側と入社希望者側でより深い関係を構築できるというメリットがあります。

詳しくはこちらのnoteまで!

避けて通れない、メンタルの問題

オフィスでは全社員の「環境の質」と「時間の質」が担保されますが、家ではどうでしょうか?
共働きで、家では子供の面倒を見ながら仕事をせざるを得ない人と、独身で静かなリビングで仕事ができる人では、環境の質と時間の質が圧倒的に異なります。どちらが良いと一概には言えませんが、後者の方が前者よりも集中できる環境が作りやすい一方で、前者の方が家族とのコミュニケーションを取ることで精神的に安定しやすいかもしれません。

このように、以前は断絶されたコミュニティであった仕事場と家庭がリモートワークの普及により融合していき、このことがメンタルに及ぼす影響は無視できないものとなっています。
そのためには「家族も含めてチームの一員である」という考えをもとに、社員が働きやすいように会社側が家族の理解を得るためのアクションを起こすことが必要になってくるかもしれません。

仮にオフィスを持つとしたら?

今回のコロナの影響で、社会全体としてオフィスに対する考え方が大きく変わりそうです。以前からオフィスを契約していない2社ですが、もし仮に今後オフィスを持つとすれば、どのような役割でどのような価値を持たせるのでしょうか?

TikTokのタレント事務所であるNateeは、「タレントとファンと社員が共存できる場としてのオフィス」という形だと、事業を加速させることができるのでは?と考えます。タレントがアルバイトをしているカフェで、そこにはファンが集い、社員は出入り自由にする。今までの、単なる仕事場としてのオフィスとは全く異なる空間ですね!面白そうです。

最後に

各社のリアルな取り組みや仕組み化を具体的に聞けて、素晴らしいイベントとなりました!コロナが落ち着いた後もリモートワークを継続するか、それともオフィス勤務に戻すかは経営者にとって悩ましいことだと思います。今回のイベントの内容をご参考にしていただければ幸いですmm

オンラインイベントの感触もよく、今後も継続的に行っていく予定ですので、皆様のご参加お待ちしています!!

直近の開催予定


イベント情報などFecabookページに随時更新していますので、ぜひページのチェックもよろしくお願いします^^
https://www.facebook.com/HeartDrivenFund/

Heart Driven Fundについて

起業家 、アーティスト 、クリエイターなど多様な才能へ投資、コラボレーションを通じて価値創出するアカツキの投資プロジェクトです。現在投資からハンズオン支援まで積極的に行なっております。

Heart Driven Fund ホームページ
https://hdf.vc/


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