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コインランドリーに行けなくなる話//「またきてね…」


この話は2024年1月のお話です。
Xでもポストしたのですが、今年の真冬。1月の下旬。
我が家の洗濯機が壊れました。
キッチンの水漏れから始まり、洗濯機が壊れてしまったという一連の騒動は精神的ダメージも強く、もう絶対動かない、完全に破壊された洗濯機を見つめて呆然としつつ、脳裏で「明日からどうしよう」と途方にくれたのをよく覚えています。

↑これが当該ツイートです。
2023年の年末に長く使っていたテレビが突然壊れ、てからのキッチン水漏れ同日の洗濯機の破損だったので、なんて年が始まったものだと嘆いたものです。

さて、洗濯機が壊れたということは、洗濯機を購入して家に来るまでの期間中、洗濯ができないということになります。とはいえ最近はとても便利なので、家の近くに数件コインランドリーがありますので、お金さえ払えば洗濯をすることができるわけです。お金はかかるけれどね…。

幸いにも洗濯機を購入することはできたわけなのですが、届くまで二週間ほど時間がかかると言われ、その期間はコインランドリーに通うことにしました。

自宅を起点として、利用しやすい位置のコインランドリーが3軒あります。二つはスーパーに隣接しているタイプのコインランドリー。もう一つは、実は親戚がかなり昔から運営しているコインランドリーです。

その親戚が運営しているコインランドリーは家の本当に近くにあり、荷物の重さを考えなければ徒歩でも行けてしまうほどの最寄りです。車だと3分かからない距離にあります。

洗濯は乾燥まですると、時間とお金がかかってしまうので、とりあえず自宅で干すとして洗濯だけをして、濡れた洗濯物をカゴにいっぱいに詰め込んで自宅で干すという作戦を取ることにしました。

そこで、洗濯機が壊れた翌日の29日。自宅から一番近い親戚のランドリーへ行くことにしました。

洗濯機を回し終わって回収して干すまでの時間が短いし、実は生まれてから一度も利用したことがないのだよねぇと思い、息子と二人で行くことにしました。

そのランドリーは川沿いの細道を、ちょっと内側に入った場所にあり、昔は田んぼが広がる今の場所の民家のすぐそばに隣接していました。おそらく35年ほど前に建てられた建物で、祖母の妹夫婦。私から見て大叔母さんのご家族が管理と運営をされている物件です。当時は物珍しく、春の花粉の時期や、梅雨の時期はたくさんの人でにぎわっていたそうですが、近所にスーパーがいくつもでき、コインランドリーが新しく併設されるようになってから客足も少しずつ少なくなっていったと言います。(とはいえ、単身者用の賃貸物件がいくつもあるので、運営できるほどの収入はあると言います)

この日の夕方。息子を迎えに保育園に行った帰り、ランドリーの駐車場に車を停めて、初めてこのランドリーの扉をくぐりました。

8畳ほどの部屋の中に洗濯機、乾燥機、小さな事務室がありました。事務室に人はおらず、「御用がある場合はお電話ください」と貼り紙が貼ってありました。

ランドリーは入った人が自分で電気をつけるシステムで、入口の所に電気のスイッチがありました。部屋が薄暗かったので、なんとなくスイッチを入れ、どの洗濯機を使おうかなと足を向けました。6キロ、8キロ、11キロの三種類の縦入れ式の洗濯機があり、5人分の衣類の為、8キロの洗濯機に入れました。料金は600円で50分ほど時間がかかるようでした。

この後食材の買い出しにもいかないといけないし、ささっと入れて運転ボタンを押し、部屋のスイッチを切って店を後にしました。その後は買い物に行って、一度家に戻り、夕食の支度をして家の諸々の家事を済ませながら時間を待ちました。

他の子供たちも帰宅したので、一緒について来るという息子と二人で洗い終わったであろう洗濯物を取りに行きました。

当たりはすっかり薄暗く、結構な寒さでした。早く帰って洗濯物を干そうね、と話しながら駐車場につき、店の中に入りました。スイッチを入れて部屋を明るくすると、洗い終わった洗濯物を黄色いカゴに詰めて、しっかりと残り物がないかを確認しました。

水を含んでいて重い洗濯カゴを片手に持って出口まで移動し、電気を消してドアに手をかけて押し開いた時でした。

右耳の斜めすぐ後ろで

「またきてね…」

とくっきりはっきり、女性の細い声が聞こえました。
「きてね」のね、の音にかけて、空気に消えていくくらい、音がフェードアウトしていくようなはっきり聞こえたのに、少し弱々しいような声でした。

何も聞こえなかった。し。
聞き返したり、後ろ向いたりしない。

私は全身に鳥肌が立ちながら、ドアを押し上げて息子に声をかけて平常心を装って車に乗り、息子と自分のシートベルトをかけて、ライトをつけて安全確認をしながらゆっくりランドリーを後にしました。

決して振り返りませんでした。

その時の様子が↑こちらです。

今ふと、振り返ればなのですが、この投稿の次の投稿で28-33くらい、と書いていたのですが、思い返せば中年くらいの35くらいの女の人の声だったかもしれない、と思えて来たり。

すぐ横の、隣り合った斜め後ろのようなとても近い距離で、くっきりはっきり声だけが聞こえたので、幻聴にしてはちょっとできすぎてる、と思ったりします。

いわゆる事件や事故がある場所や建物ではないし、土地自体も元々田んぼや畑の場所だったので「いわく」というほどのいわくはないと思うのです。

いったい何だったのかは、今もってわかりませんが。
取り合えず、そのコインランドリーには二度と行けなくなりました。

(後日談になるのですが、この体験があったからなのか、近いし、もう一回行ってもいいかもなぁという、なんとなく行きたいような気持ちと。いや、もう絶対行くもんか!という気持ちが2,3日せめぎ合っていた気がします。この翌日からはスーパーのコインランドリーを利用することになりました)

あなたの身近なお店のコインランドリーにも、
もしかしたら目には見えない何かがいらっしゃるのかも、しれません。

(なんてね)

おわり。

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石野@マクラメアクセサリー作家
天然石を極細の糸で編むマクラメクリエイター。天然石をマクラメの技法を駆使して宝石いっぱいのペンダントにしています。