リモート会議を成功させるためのプロトコルについて
リモートワークの普及は続くのか
新型コロナ禍が顕著にビジネスに影響が出始めて既に半年以上が経ち、それにともなって必要以上に無理強いされることになったリモートワークの功罪についての議論も出尽くしてきたように思います。
私も経済産業省のある研究会で発言を求められたり、10月初めにリモートマネジメントについてWebinarでの講演依頼があり、自分なりの意見をまとめる機会がありました。
コロナ禍でコロナ禍以前に求められていた以上の程度・頻度で求められることになったリモートワークですが、コロナ禍が今後終焉すると仮定すると、新日常というだけでコロナ禍以前以上にリモートワークが普及するかどうかは微妙だと思っています。
統計を見ると若年層や女性には評判の高い在宅勤務ですが、組織のトップがこぞってオフィスに顔を揃えるようになって、本当に同調圧力の強い日本の組織でもリモートワーク率を高く維持できるのかどうか。
一部のIT企業などリモートワークをノーマルとする動きがありますが、それ以外の業界では雇用市場が働く側の売り手市場なのかどうかでこの普及結果も異なってくるでしょう。コロナ禍で棄損した経済状況から見ると一部業界は非正規社員の雇止めや早期退職募集をせざるをえず、全体としての雇用市場は当面厳しいのではないかと思います。
リモートワークの難しさを克服するには
とは言え、私自身は自営の身ですのでリモートワークの功罪の功を満喫しており、またコロナ禍が各種パラダイムシフトの契機となることを心から願っています。
リモートワークの罪の代表格である「コミュニケーション不足」とその結果の「イノベーション機会の喪失」は、コロナ禍以前に一部のIT企業でリモートワークを取りやめる企業があったことを考えると、新しいITツールとマインドセットや会議等のプロトコルの変化でどれだけ罪をカバーできるかが今後の課題となります。
またどんな組織もリーダー次第だと言うとそれまでなのですが、コロナ禍を契機に組織文化を変える意欲のあるリーダーのいる組織と旧日常に戻ることを快適に思う組織ではおのずとその後に差が出てくることでしょう。
バーチャル会議のコツは?
さてこのHBRの記事はタイトルにある通り取締役会を想定したバーチャル会議のコツをまとめたものです。この記事が例示する企業のリーダーはコロナ禍を契機に新しい文化を作ろうという意欲が溢れているようです。文中、バーチャル取締役会のベネフィットが次のように例示されていました。
議題が絞り込まれ、出席者の発言が簡潔になることに加えて、多くのメンバーが会話に加わりやすく、自由闊達な議論が促進され、主要な経営幹部や社外の専門家の話も聞きやすい
実は最近古くからつきあっている英語学習会社の方と近況についてメールでやりとりした際に、バーチャル環境での育成カリキュラムを試行錯誤しているとの話がありました。彼らはコロナ禍以前はむしろ対面にこだわった育成カリキュラム提供を持ち味にしていたのですが、コロナ禍を契機に抜本的な議論を行った末にバーチャルのベネフィットを上手く活用することにハイライトしたそうです。彼らが気づいたバーチャルのベネフィットは次の通りでした。
1.バーチャルだと講師との距離感がなくなり、1人1人が対等な存在感が出せ、講師の話や、発表者のスピーカーの話により集中でき、講師に「近寄りにくい・質問しにくい」感じは対面よりも薄らぐ。
2.ペア作業が簡単にできない分、個別にバンバン指して発表してもらっているので、フィードバックが行いやすい。
3.パワポでシンプルかつ動的に重要なポイントをハイライトしながら、視覚的に理解を進めたり、感覚を深めたりできます。Surfaceの手書き機能を使ってパワポも敢えて手書きを入れている。
4.敢えて全員のマイクをオンにして、がやがやと周りの声を聞きながら勉強する環境を作っています。
この記事にあるバーチャルを成功させる8つの方法は取締役会で無くても応用できるものですので是非みなさんも現場で使ってみてください。
(1)事前の準備を強調する
(2)議題を絞り込み、議論を活性化する
(3)議題を1~2週間にわけて話し合う
(4)信頼を築く
(5)小グループでの話し合いを行う
(6)「率直な意見の時間」を設ける
(7)ディナーに代わる経験を用意する
(8)大物ゲストを迎える
ブレイクアウトルームなどITツールの利用も色々出てきそうですが、上記プロトコルの利用でバーチャルの良さも活用できるのではないでしょうか。試行錯誤の連続こそイノベーションを生んでいくと信じで前進したいものです。
(本記事の内容についてより詳しくご相談されたい方はこのリンクからコンタクトください。バーチャル環境の整備、バーチャル環境でのマネジメントの要諦とそのスキルアップをお手伝いいたします。)
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