2019/7/1 (月) 「製品開発における人間中心設計実践ワークショップ」振り返り
お礼
人間中心設計推進機構主催「製品開発における人間中心設計実践ワークショップ」に参加いただいたみなさん、ありがとうございました。株式会社ノーリツさま、ワークショップテーマのご提供ありがとうございました。さくらインターネット株式会社さま、すばらしい会場のご提供ありがとうございました。
ワークショップ内容
ワークショップの流れ
ペルソナの仮説
カスタマージャーニーマップの仮説
インタビュー調査
ペルソナ・カスタマージャーニーマップの確定
要求事項の優先順位付け
課題シナリオと解決シナリオの作成
解決シナリオを実現するアイデア検討
発表
本ワークショップは、4時間で人間中心設計プロセスを学ぶという、ボリュームたっぷりの内容でした。そのせいで駆け足で時間が足りなかったという声をいただいており反省しています。ただ、一日で一連の流れが学べるという点は喜んでいただいておりますので、問題点の対策を行い、改めて第二弾を開催したいと思います。
アンケートへの回答
アンケートで質問いただいた内容にお答えいたします。
☆資料をシェアして欲しい
https://www.slideshare.net/ToruMizumoto1
※若干、書き直しています
☆構造化シナリオ法の参考になる資料を教えて欲しい
書籍「エクスペリエンス・ビジョン: ユーザーを見つめてうれしい体験を企画するビジョン提案型デザイン手法」が参考になるかと思います。その他、論文なども多数見つかると思いますので探してみてください。
☆人間中心設計をどこから学んで行けば良いか?
会社の状況によっても異なると思いますが、まずは実践できるものから取り組むと良いと思います。既存の製品やサービスがあるのであれば、そのユーザビリティ評価から始めるのも良いかもしれません。ユーザビリティ評価を行うとすると、ユーザー特性と利用状況を明らかにする必要が出てきます。一通りの体験ができますので、ぜひチャレンジください。小さくても良いので改善効果を示せれば、次はこういった指摘を未然に防ぐにはどうすれば良いか?を提案すると良いでしょう。きっと、上流で人間中心設計に取り組む必要性が見えてくると思います。
☆組織に浸透させていく良いアプローチがあれば教えて欲しい
まずは各部門の困りごとを解決していくことです。人間中心設計という言葉や考え方は知らなくても、どこかで人間中心設計的なことはやっているはずです。その中から支援できるポイントを探してみましょう。例えば、すでにインタビュー調査を実施している部門があれば、その内容を見せてもらって、こういう質問を加えると良いですよ、こういったインタビューシートを作成すれば分析が楽ですよなどといったアドバイスを始めましょう。
あるいは、設計部門がメカの構造について、A案とB案のどちらがユーザーにとって使いやすいのだろう?と迷っていたら、ユーザビリティ評価を実施して判断するのを手伝ってあげましょう。そうやって、少しずつ周りにファンを増やしていくことが浸透させるための第一歩だと思います。
☆アイディアが優先的になってしまい、ペルソナが後付けになってしまう
シーズ発信も大切です。ユーザー中心だけでは画期的なモノは生まれないので・・・ アイディアが先にあって、それを利用するペルソナとカスタマージャーニーマップを描いてみるというのはOKです。ただ、ここまでは仮説なので、仮説検証を行う必要があります。仮説したペルソナに近い人をリクルーティングしてインタビュー調査を実施しましょう。きっと、アイディアを否定されることより、洗練されていくことの方が多いと思います。
☆人間中心設計プロセスを導入したことによる効果をどのように説明するか
スライドP108に効果を説明している図があります。しかし、これを納得してもらうのは難しいケースが多いです。例えば「使いやすくなって、問い合わせ電話が年間200本減りました。」と示したとしても、電話1本にかかる人件費等が5,000円だったとしたら、1年間で100万円の効果としか定量的には示せません。電話をかけてくる人は氷山の一角であって、潜在的に不満を持っている方がたくさんいるんですよ!と言い出すと、結局P108と同じ説明になってしまいます。
営業的な観点を考えると、再購入率を測ってみると良いと思います。あるいは、ネットプロモータースコア(NPS)であれば経営層でも知っている人が多いと思いますので、これを測ってみるのも面白いと思います。ただ、製品発売後の計測なので、かなり長期間の取り組みとなってしまいます。あとは、経営層はプロジェクトの遅れを気にすることが多いので、プロジェクトが遅れた原因を分析して、人間中心設計プロセスを導入していれば、これだけの遅れを防げたはずであると示すのも効果的だと思います。
いろいろと反響をいただきましたので、それらを反映して第二弾を開催させていただきます。また、お会いしましょう!