走らないOMM 〜 OMM Japan 2020 Nozawa Onsen 〜 (前編)
お疲れさマウンテンです
今年5回目のOMM本戦出場を果たし、自分たちなりにそれなりの知見が溜まってきたと思うのでシェアできればと思います。これから出場を検討される方やオリエンテーリングの経験がない人の参考になれば幸いです
これまでの出場経歴です
Nov 2015 – 2nd OMM JAPAN Tsumagoi Straight DNF
Nov 2016 – 3rd OMM JAPAN Shinano-Omachi Straight DNF
Nov 2017 – 4th OMM JAPAN Noveyama-Kogen Straight C 25th/76 32%
Nov 2019 – 6th OMM JAPAN KIRIGAMINE-KURUMAYAMA Score Medium 23th/88 26%
Nov 2020 - 7th OMM JAPAN NOZAWA ONSEN Score Medium 12th/64 18%
参加当初はそれなりにトレイルランニングをやっていた事もあり、よりシンプル(?)なストレート種目をチョイスしました
2015年の初めての参加ではDay 1を20th/39でフィニッシュするも、Day 2にチェックポイント(CP)4に向かう途中で怪我をしてしまい、DNFとなりました
2016年の2回目の参加ではDay 1でCP7を見つけられず、DNF。この年のコースはいま振り返っても難しかったなぁと思うのですがリザルトを見ると、他にもCP7で15組が敗退していました。Day 1においての完走率は17/52と僅か33%
2017年、3度目の正直ということでやっと完走
ストレートを完走できた事こともあり、翌年はスコアにエントリー
スコアの場合は自分たちでルートを決められる事もあり、より頭脳ゲームになってくると思います。もちろんストレートでも各CPへの移動をどのように行うのか作戦や工夫が必要ですが、スコアの場合は獲得するCPも自ら選択する必要があります。CPも選べるので、自分の体力に合わせたルートを決められるのも良いですね
それ以降はスコアの方が競技として面白いと感じ、スコアに出ています。走りたくない思いが笑
ちなみに、私達は参加当初からずっと同じバディです!聞く話では長年バディがずっと同じというのは珍しいみたいですね
それでは今回の大会を振り返りながら、私達がどのように作戦をたてたのか説明します
まずはスタートで地図を受け取り確認するのは現在地点(スタート)とゴール地点
ゴールは東方向、スキー場の上あたり、分かりやすい道路を辿っていけば6〜7km程度、高度500mほどの差があることが分かります。これでなんとなくゴールに向かっては登り基調なんだなという雰囲気が分かります
パッと見でゴールの周りにはAA、DM、CU、BK、DFと取りやすそうなポイントがいくつかあるので、これらは全部取る方針で、もし時間がなくなったら諦める事にします
最短ルートが決まったら、脚力とやる気と相談して、どれだけ遠回りするか決めます。私達の場合(走らないOMM)は基本速歩きで行動します。急登での減速、下りでの加速などありますが、平均的に歩く速度(時速4km)ぐらい。スコアミディアムの初日の制限時間は6時間なので目安としては24kmの移動で考えます
過去の大会の記録から、だいたい250〜300ポイントぐらい取れるだろうというのもルートの作成に経験値として活きてきます
チェックポイントを選ぶ際には得点はもちろんの事、地図上の位置と位置説明から分かりやすいものを選びたい。特に”尾根”、”谷”はハマりやすいので要注意です。チェックポイントの撤収時間も確認しましょう。チェックポイントの撤収時間からルートが見えてくる事もあります
今回のチェックポイントで撤収時間が早いものは
AM 40 12:00 建物の南
DC 30 12:00 ピーク
CD 50 13:00 尾根
得点も高く、CDの"尾根"を除けば分かりやすい。これらとゴール周りのAA(20)、DM(40)、CU(20)、BK(30)、DF(10)と組み合わせると既に240点となる
最終的にはこのようなルートで行く事になった。CDまでの往復がおおよそ6kmぐらい、DMまでの往復が2kmぐらい、その他の細かい動きを入れておおよそ20kmぐらいだろう。バッファも十分に確保できている。制限時間を超えた場合、1分につき5点減点になるので遅刻だけは避けたい
全ての決定事項はバディと必ず確認しあう。片方が地図読みが得意だから、片方がこう言ったから、片方がこっちと言ったから、などと任せてしまうとミスが発生したときには必ず責め合いになるし、ならないにしても何故自分で確認しなかったのかと自己嫌悪にも陥る。自分はついて行くだけと割り切っているならいいのですが、、、それは楽しくないでしょう。曲がり角、トレイルの入り口、動きが変わるときには必ずお互いが自分の位置を把握している必要がある。どこにいるのか分からない場合、地図読みが苦手な場合でも、説明をもとめてお互いが何故その選択・行動をとっているのか理解するのが重要だと思う。長くバディを続けるためにも
OMMに出たことがある人は分かると思うが、体力の限界が来ている時、時間に追われている時のミスはイラッとするものです
ここまで長々と説明しましたが、このあたりの事はスタートで地図を受け取ったら動き出す前に決めたい。スタートはウェーブスタートとなっており、地図はスタートより前に、次にスタートする組に渡されるので、スタート前の1〜2分ほどは考察する時間がある
スタートを出るとAMに向かう。スタートから道路(白い枠線)に向かう。軽車道(黒い線)でいけるので分かりやすい。道路にでたら西に向かい、最初に出てきたスキー場(オレンジ)を北に直登する。見ての通り、AMに向かう方法として、そのまま道路を登って行く事も可能であり、その場合もほぼかかる時間は変わらない。多くの場合、直登よりうねり道(はっきりとした道 )があるなら、道路の方がルートが明快で体力を消耗せずほぼ同じ時間で登れる。今回はスキー場のバーンという分かりやすい特徴があったので直登したが、やはり疲れた。スタート直後にも関わらず、今回の大会で一番キツかった箇所のように感じた
AMの後はCDを目指す事にした。CDまでは距離があるのでDCをピストンするかしないかの判断材料を残すためである。しかしこれが大きなミスだったと後から気づく、、
CDは県道をしばらく北へ歩き、ヘアピンが2つほど続く場所を目指す。途中にピークの東側を走っているので、最初登りで、途中から少し下るのが分かる。全体的に勾配は緩やかなのでペースは早いのが予想できる
難しいのはトレイルに入ってから。チェックポイントはトレイル沿いにはなく、少し逸れた尾根にある。自分たちはトレイル沿いを歩き、行き過ぎた事に気が付き、歩いていたトレイルから西側の尾根に出て、登り返す事によってチェックポイントを無事とることができた。正直、ここでかなり焦った、、、こういうところはバディとの喧嘩ポイントになるのでお互い責め合わずに分析と軌道修正に専念する。それからチェックポイントを探し回る事に必死になってお互いがバラけてロストしないように行動をともにしましょう
地図読みが上手い人は、チェックポイントの手前で、トレイルから尾根と谷になっている形状を見つけ出し、そこから分岐してチェックポイントを獲得していた。これは、チェックポイントを取って返っている途中にすれ違った人たちの動きにより自分達も気がついた
ここからDCを取りにいくためにひたすら戻る。移動中にやっておきたい事は、要所要所で時間を記録すること。距離や勾配などによってかかる時間の目安が情報として蓄積していき、今後のルート考察に役立つ。Day 1の行動においては、同じルートをDay 2に通る可能性もあるので、より重要な情報になる。こまめに記録していこう
DCは楽勝。通ってきた道を戻り、県道(黄色)と車道が交差するY字路から出ているトレイルをピークまで登ればいいだけだ。一点注目したいのは、トレイルがピークまで続いていない事。DCを囲う○のあたりで終わっている。ただしピークなので見つけるのはそれほど難しくなかった
しかしDCに向かう間は誰とも合わない。バディとおかしいねぇ、みんな先にDC取っていたのかねぇとか言いながら下山していたら、一人で登って行く人とすれ違う。かなり軽装だったので、不思議におもったが、よくよく考えたらチェックポイントを回収しにいくスタッフだった、、、そう、先に言った大きな誤ちとはこの事、チェックポイントの撤収時間を十分に考慮せずにルートを組み立てていた。幸い、このチェックポイントは撤収前に無事獲得できたのだが、少し遅かったら30点も無駄にしたことになっていた
AGも楽勝。県道と車道のT字路だがマーシャルの待機位置が大きな目印になっているので、ただひたすら目指す。チェックポイントは徒歩道の曲がりとなっているので逃しようがない
AAへ向かう。目印としてはリフトとスキー場。スキー場を登る道路に出れば後は地図通りに歩けば良い。軽車道に入る目印としてリフトの終点もある
BKの作戦としては道路の適当なところから南に移動すれば勾配もないし、目印としてトレイルとスキー場(バーン)の切れ目が使えるかなと考えた。しかし”谷”なので多少分かりづらい事を覚悟していたのだが、実際到着するとヤブから出てくる人たちが大勢いてここですよとばかりに目印になっていた。そのヤブまで歩いていくと、そこから既にチェックポイントが目視できたので無事ゲット
一つ気をつけたいのは、他の人の行動に惑わされない事です。その人達が迷っている(間違っている)可能性も大いにあるので、、。安易に人についていったり、出てきた人たちを目印にするのはやめた方が良いです
CU、徒歩道の曲がり、これもボーナスみたいなものですね。迷わずゲット
残り時間も十分にあるので予定通りにDMに向かう訳ですがここで横着炸裂。DMに入るトレイルがある五叉路までCUから藪こぎしてショートカットしようぜという作戦。数mほど藪に入ったところで行けると確信するも、入れば入るほど酷い藪になってきて、ほぼ身動き取れないぐらいいろんな枝に巻き付かれていた。しかも、藪こぎしたい方向が、バディは直接五差路に出れる赤方向、自分は最短距離でヤブから出れる黒方向を目指していて、ここでお互い向き違いを指摘する事に。なんとか責め合いになる前にヤブ脱出!
DMはピークの東(訂正)とあるが、勾配がゆるやかすぎて顕著なピークはない。行きすぎないように慎重に向かい、はっきりトレイルから見える場所にチェックポイントがあり、無事ゲット。行き過ぎの目印としては、その先にある急勾配かなと思う
後は戻って道路にでたらゴールに向かう途中のDFをとって終わり。無事にDay 1のゴールです!
Day 1に関しては250点の獲得で順位は11/64
距離20.4km、移動時間4:49:35、ペース14:10/km (時速4.2km/h)とほぼ計画通りに実行できています
制限時間より1時間以上も早くゴールしているのでバッファを大きく取り過ぎている感じもあります。自分達の走力を考慮して、もう少し点を取りに行くとしたら、CDからBLを取り、CLを取ってAGに向かうルートもありだったのかなとも思います。その場合は290点獲得で7/64ですが、CLからAGにスルーしようとする場合は400m近い山を越える必要があるのでかなり際どい感じにはなります。ちなみにCLを取りにいく場合は山の尾根沿いを登るよりも、マーシャルの位置からでている軽車道経由で行くのが確実でしょう
CLを取らないなら、県道を辿り、勾配の少ないCG、DH、CKあたりを狙い、時間を見ながら折り返すという作戦もありのように思えます
この辺りがトップ10入りできるかできないかの境界線のようですね
自分達に取っては1日目を計画通りに進められたのと、程よい疲労感で終えられたので満足です。後は長い長い夜が待っているので翌日のためにしっかりレストすることが重要になってきます
ポイントのおさらい
地図を受け取ったらスタートとゴールを確認
チェックポイントの撤収時間を確認
スタートからゴールへの最短ルートを確認
最短ルートから取れるCPを考える
時間を見ながら変動できるエスケープルートを考えておく
チェックポイントの位置説明から難易度を見極める
常にバディと意思確認
地図上から、車道やトレイル以外にも出来る限り多くの情報を拾う
直登やコンパス直進より素直にトレイル(初心者は)
他のペアに惑わされない
小まめな記録(距離、高度、時間等)
CP AGにて✌️
私たちもまだまだ未熟ですが、参考になれば幸いです。他にも”こうした方がいいよ!”などのアドバイスなどあれば是非twitterのアカウントにでも投げて頂ければ幸いです
それではDay 2の後編もお楽しみください
नमस्ते🙏