不要物らの輝ける火葬場の前で
遂に今日
フンデルトヴァッサーの
舞洲スラッジセンターを
探訪することができた
『旅ノート』(ずぶぬれ出版)著者の
岡清火氏と共に…
……………………………
自然と融合した巨大建築の美が
視界を圧倒する
このような建物が
存在するのが信じられないくらいの
非現実的な景色
尖塔にある金色の玉ねぎ型から
煙が立ち昇っている
楽しげで美しい
海風の吹く中
午後の温かい日が射す
朽ちかけのベンチで
二人でおにぎりを食べた
周囲は無人
積もる話をした
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有機建築の超未来っぽい他惑星的な美が
何の宣伝もなく
むき出しで
あっけらかんと日常内に存在している
戦慄
晴天の青空に烏の群れ
繁殖した木々が
飾り窓から飛び出している
風に吹かれた葉々が
建物上空から舞い落ちる
不思議惑星キン・ザ・ザか
インターステラーか
藤子F不二雄の
時空を超えた世界に片足を踏み込んだような
感じもある
あまりに静かで
美しいので
……………………………
ここは
紛れもなき
正真正銘のごみ処理施設である
子供の落書きか、おもちゃのようにも見える
信じがたい偉大な建造物
遊び心の大いなる証明
ロシア正教かモスク型の
黄金から
立ち上がる煙
収集された廃棄物が燃え上がる
……………………………
空は煙の中で青さを忘れ
と
ロシアの革命詩人は言った
……………………………
不要物らの輝ける火葬場の前で
おれは
ふと
『かわいいゴミ』
という名の本を書いた詩人のことを
思わざるを得ないのだった
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