文体の舵をとれ 練習問題4-1 重ねて重ねて重ねまくる

## 前提

『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』(フィルムアート社)の練習問題4の問1の回答をここに書く。

解説が長くなりがちなので、同じ練習問題でも問と問で分割することにした。

制限時間は指定通り1問30分。原文で指定がなければ、1段落は160~240文字、1Pは500~800文字として扱う。

## 問1

### レギュレーション

一段落(三〇〇字)の語りを執筆し、そのうちで名詞や動詞または形容詞を、少なくとも三回繰り返すこと

### 回答

1時間?/346文字

俺は丈二をナイフで刺した。俺の情婦に挿したから。
丈二はサツには駆け込まなかった。奴には前科があったから。
代わりにガラスが幼児を刺した。俺の可愛い姪だった。
姪の瞳に光が差さない。手術は成功しなかった。
親戚すべてが背中を指した。子供を喧嘩に巻き込んだ。
兄は事故だと庇ってくれたが義妹は俺を許さない。
ろくでもないのに関わるなって、あれだけ釘を刺したのに。
テレビのニュースは俺を刺さない。さして騒がすこともない。
ジャーナリズムは田舎の屑より行事の指し手を刺しに行く。
振込先は親子を指した。迷惑料は置いていく。
中古の車に油を注した。夏の日差しが目を刺した。
俺は丈二に止めを刺した。医院で将棋を指していた。
最後の午餐に刺身を食べた。樹海を目指して走りゆく。

### 解説

繰り返し対象には「さす」を真っ先に思い浮かべた。印象が鮮烈かつ色々な使い方ができる同音異義語だからだ。『ナイフで刺した』というフレーズに注意を引かれない人は中々いないだろう。これをベースに広げることにした。おかげで全体的にネタがどぎつくなってしまった。「Xようじ」も響きがよかったので採用した(丈二さんごめんなさい)。問2で『刺す』という概念自体を自己複製する怪奇現象として使うことも思いついたが、うまく広がらなかったので問1にまとめた。

時間が曖昧なのは夢中になってたら時間を計るのを忘れてしまったため。

> ジャーナリズムは田舎の屑より行事の指し手を刺しに行く。

これはまあ……時事ネタですね……

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