未来航路

La'cryma ChristiのギタリストのKOJIさんが逝去された。

彼は、というか彼らは僕の人生にとっても非常に重要なバンドで、文章にすると安っぽくなるのだが気持ちを整理するためにここに記そうと思う。

今から二十数年前、僕は小学生6年生でまだ11歳だった。
3歳年上の姉が夏休みを前に腰を痛めて、数週間入院することになった。

入院している間は当然暇になるので、何冊か雑誌を買って差し入れで持って行ったのだ。
その中に、当時僕と姉の2人ともがハマっていたT.M.Revolutionの西川貴教さんが表紙の雑誌があった。

姉は入院中に何度も同じ雑誌を読んでいたのだが、目当ての記事以外にも目を通しており、西川さんに似ているメンバーがいるバンドが気になったようだった。

それが当時ブレイク間近だったラクリマだった。
ドラムのLEVINさんは当時髪型も髪色もたまたま西川さんに似ていたのだ!

そこから姉はいつの間にかラクリマの音源やらラジオやらを聴くようになっており、僕も釣られて彼らの世界に触れることとなった。

当時彼らはカルビーがスポンサーのTBSラジオで番組を担当しており、姉はそれを録音して僕もいっしょになって聴いていた。
(HIROさんが担当する「日めくり俳句」というコーナーがシュールでお気に入りだった)

その中で新たにリリースされるシングルが紹介されていた。
「未来航路」というタイトルを冠したその曲は、歌詞の中で歌われているように茹だるような夏の暑さと、都会を吹き抜ける風のような爽やかさが共存する不思議な曲だった。
ギターと歌だけで始まり、ベースとギターのユニゾンからのオリエンタルなギターリフ。
友達とプールに遊びに行った日にも聴いていたので、僕にとって夏の日々を思い出す一曲になった。

https://youtu.be/XGzZ6diMGA4

ラクリマの曲が耳に馴染むようになってきたある日、姉が勝手に母や僕の名前でラジオのイベント(というか招待制のライブ)に応募し、かつ当選していたことが発覚 笑
母が付き添うことを条件にライブに行くことを許して貰えたのだ!

人生初めてのライブハウス。赤坂BLITZでそのイベントは催された。
2時間立ちっぱなしなのは序の口で、何より会話が出来ないくらいの爆音で音楽が演奏されることが衝撃的だった。

その後も、姉とその友達にくっついて行き武道館でのコンサートにも参加した。
終演後に耳がおかしくなるという経験も初めてだった。
KOJIさんはめちゃくちゃ背が高くて脚も長くて、金髪が似合っていて、2階席までピックを飛ばせるスーパーギタリストだった 笑

当時は分からなかったのだが、ラクリマはツインギターのバンドには珍しく、リードギター/サイドギターの役割が曲によって入れ替わるため、2人ともギターソロを弾くのだ。(実際にはHIROさんがリードの割合が高い)
ラクリマは特にギターサウンドが前に押し出されたサウンドということもあり、僕は完全にエレキギターの虜になってしまったのだ。

それをきっかけとして僕はいろんなロックバンドにハマっていき、後にギターを弾き始めることになる。

とにかく、La'cryma Christiというバンドに出会わなかったら僕はギターを弾かない人生を歩んでいたかもしれない、というくらい影響を受けたバンドだった。

10周年のライブを最後にKOJIさんがバンドを抜けたときもショックだった。

ラクリマはKOJIさん脱退後、ハードロック路線を突き進んで行くのだが、どうも需要と供給のバランスが合わなかったのか数年後に一度解散を迎えてしまった。

だからラクリマが復活して、しかも5人でライブすると聞いた時はめちゃくちゃ嬉しかった。
大学の卒論〆切が近かったけれど、Zepp Tokyoで復活ライブを観に行き、再び生でラクリマが聴ける喜びを噛み締めた。

その後、僕は社会人になり、仕事に忙殺されてしまい生で聴ける機会が無かったのだけれど、ラクリマの曲はずっと聴き続けていた。
ギターを弾くようになっていつの間にか10年近く経っていたけど、彼らのバンドアンサンブルがいかに優れているのかがより鮮明に理解できるようになった。

KOJIさんの動向もTwitterで逐一追っていたので、HIROさんとのジョイントライブでラクリマのTAKAさんを除いた4人が集まったのも、1人分のスペースを空けて写真を撮っていたのも胸が熱くなったなぁ。

2月の病状報告の記事の中で、敢えて癌のステージは話さないでおきますとあったので、厳しいのかもしれないと思った。
同時にギタリストとしては幸せな人生だったとも記していて、それも真実だろうなぁとも思った。

ここ1ヶ月くらいの間、Sculpture of Timeをほぼ毎日聴いていたのだけど、目を閉じて聴くと彼らの演奏している姿が生々しく脳裏をよぎるのだ。
それくらい音にこだわり抜いて作られたサウンドで、今も色褪せないくらい情熱が注ぎ込まれている。

もっとやりたいことがあっただろうな、悔しいだろうなと思う半面、これまでやってきたことに一切妥協が無いのは音を聴けば解るので後悔もしていないんだろうな。

残された側としては悲しさや寂しさしか無いのだけど、紡がれた音はこれからも聴き続けると思う。

本当にお疲れ様でした。僕にとっての最初にして最高のギターヒーローです。

#LacrymaChristi  #ラクリマクリスティ #ラクリマ #KOJI

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