2回中山攻略法⑤田辺裕信騎手との上手な付き合い方
では今回は具体的に2、3回中山における田辺裕信騎手について。まずは人気別成績から。
かつての穴党おじさんたちを喜ばせた田辺騎手はもういない。中山でも10番人気以下は【0-1-0-53】とさっぱり。1番人気は勝率37.1%、複勝率61.3%で堅調。最近の田辺騎手は人気馬で手堅くが付き合い方。ただ、注意は芝で2番人気だったときは【1-4-4-17】と勝てない。1着は20年4月5日浅草特別ロザムールのみだったが、先週の中山で1勝(芝1800mの未勝利戦クライミングリリー)を計上。それでも頼りないことに変わりなく、芝の2番人気だけは立ち止まったほうがいい。
その芝レースの傾向について距離別成績を出す。前述のクライミングリリーの勝利が加わるが、芝1800mは【1-6-3-35】と不振。ほかは満遍なく成績をあげているだけに目立つ。芝1800m2番人気で先週勝利をあげたのは引っかかるが、芝1800mだけはどうも勝ちきれない。
芝1800mではどういった場合が買いなのか。距離比較別にヒントがあった。距離延長組が同距離や短縮を凌駕する。クライミングリリーもこれに該当。芝1800mで距離延長ではない馬は田辺騎手でも疑うべきだろうか。延長がいいのは田辺騎手は基本的に無理に先行する騎手ではなく、馬任せな自然な形が得意であることに原因がありそう。田辺騎手が短縮馬に乗ると、流れが速くなり、必要以上に位置を下げてしまうのではないだろうか。延長馬はその逆で、田辺騎手流の自然な形でもある程度の位置を確保できる。中山での仕掛けどころの巧さは現役屈指なので、後半は田辺騎手のよさがいきる。裏を返せば前半がポイントになる。いくら仕掛けが巧くても、流れに乗り損なえば上位進出は難しくなる。その意味でも距離延長の馬と手が合いそうだ。
次はダートの成績。ダートの注目は勝率14.7%、複勝率37.1%の1800mだろう。自称中山ウォッチャーの私からみて、中山ダ1800mの田辺騎手は時に仕掛けひとつミスがない完璧な騎乗する。坂を2度あがるダート1800m戦はスタミナの残し方がカギ。ゴールまでしっかり脚を使い切る騎乗には舌を巻くというもの。
これが田辺騎手と中山ダ1800mで相性がいい厩舎。勝率、複勝率、回収値どれをとっても見かけたら全部買えというレベル。かつて所属していた小西厩舎はやや妙味薄だが、大和田成、小笠倫弘、高柳瑞樹の3厩舎はことさら要チェックだ。
だがウィークポイントもある。中山ダ1800mで買えない条件は2勝クラスと3勝クラス。1勝クラス以下の成績と比べると、ちょっと目も当てられない。とくに2勝クラスのダ1800m戦といえば、最終レースに多い条件。負けまくった最後のレース、舞台は中山ダ1800mとなれば、ついついコース巧者の田辺騎手に託したくなるが、現実は悲惨な結末が多い。私もよくこのパターンで最後に散財した経験は多い。覚えておこう。勝ったのは17年3月25日最終レースのロードシャリオ(2番人気)が最後だ。
買い材料をもう少し。枠番別成績では2、8枠が目立つ。どちらも回収値も優秀。6枠もいいが、8枠は特にえげつない。前述したように自然な序盤戦とアグレッシブな後半が田辺騎手の持ち味。外枠は序盤で流れに乗せやすいということか。2枠は2、3着がなく、やや極端。横山典弘騎手の東京ダ1600m4枠と同じく謎のデータが、覚えておいて損はない。
最後は前走脚質別成績。自然な序盤の田辺騎手らしく、やはり前走で流れに乗れなかった馬を無理にレースに参加させたりはしない。そのため後方脚質だった馬は苦戦。中山ダ1800m自体が前走後方だった馬には厳しい舞台でもあるが、ここも鬼門として覚えておこう。田辺騎手は戦略家ではあるが、無理に馬の戦法を変えることは少ないので、前走成績をチェックして、流れに乗れそうな馬を選ぶ、これも田辺騎手の付き合い方ではないか。