日本ダービーを考える②皐月賞を振り返る
変則的に毎日杯から回顧したが、やはり日本ダービーを推理する原点は皐月賞。清水成駿氏はかつて「ダービーは皐月賞のゴール後をみろ」と言っていた。皐月賞を繰り返しあらゆる映像で振り返ると、日本ダービーが見えてくる。
まず皐月賞のラップから
12.1-11.7-12.5-11.9-12.1-11.4-11.9-12.1-12.3-12.6
前後半1000mはともに1分0秒3で2分0秒6。ラップバランスは完璧なイーブンだが、ラップ構成はめちゃくちゃ。正直、美しくもなんともない。不安定な競馬だった。1コーナー突入までは勢いよく行き、2コーナー手前でワールドリバイバルが一気にペースを落とす。ダノンザキッドはこの罠に見事にかかった。向正面でタイトルホルダーやダノンザキッドに突っつかれて、ペースをあげ、残り1000m標識すぎから一気にギアチェンジ。これについて行って2着に残したタイトルホルダーは加速力はないが、スタミナはある。
ワールドリバイバルが下がり、タイトルホルダーやレッドベルオーブやダノンザキッドに主導権が変わる。だが、この3頭に速い脚はなかった。
エフフォーリアは最高に完璧な競馬だった。すぐ隣にダノンザキッドがいて、前半のコース取りはこの馬のインコースを狙えた。向正面ではダノンザキッドがわざわざ前に行ってくれて、斜め前に見る形になったのも最高だった。ダノンザキッドが外へ進路をとって動いたことで、後方にいたアドマイヤハダルやヨーホーレイクらを外へ導いた。ガラガラになったインで仕掛けを待てる余裕まであれば、エフフォーリアの3馬身差は納得だ。
早めに仕掛けるバテ比べをインで待てる、こんな最高なシチュエーションはそうはあるまい。実際の力差は3馬身差まではないだろう。
このエフフォーリアの背後に忍び、この馬に進路をつくらせた3着ステラヴェローチェ、この2頭は皐月賞でもっともおいしい競馬をしたといっていい。
ではその逆はいるのか。まずはディープモンスター。後方から大外を回り、かつコーナーで器用に動けなかった。東京に替わって皐月賞で合わなかった個性がかみ合う可能性はある。だが、現時点ではそうであっても力がまだ足りないのではないか。よくなるのは秋のような気もする。
もう一頭がヨーホーレイク。この馬は基本的にホープフルSからずっと同じような競馬ばかりしてきた。最後は伸びるが、あと一歩足りない。ストレスが溜まる競馬を強いられ、それで5着で権利をとった。なんとなくユーバーレーベンに重なるタイプ。しかし、日本ダービー乗り替わりは大きな減点材料。岩田望来さんを降ろす理由がわからない。
皐月賞のゴール後を振り返る。早々に馬を止めたのはステラヴェローチェ。勝ったエフフォーリアにゴール後も並んでいったのが差されたタイトルホルダー。田辺裕信さんは横山武史さんに手を差し伸べ、祝福している。しかし、私にはあれが日本ダービーでのリベンジを誓ったようにしか見えない。次は負けない。田辺裕信さんがタイトルホルダーでどんな競馬を考えるのかが気になってしょうがない。