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【エリザベス女王杯】牝馬は春秋で入れ替える

信じる者は救われる。
そんな単純じゃないよと言いつつ、あらゆる選択を迫られる人生では選ぶ根拠や指針がなくて困るのは事実。なにか縋りたいのも心理であり、頼れるものがある安心感もまた必要なこと。だが、最終的に決めるのは己であり、その選択は己の意識によってのみ実行される。「せっかく信じたのに、どうしてくれるんだ」なんて恨み節はまずは自分に向けないといけない。競馬もしかり。馬券はそれこそ選択の連続だ。すべてを買うわけにはいかない。買う買わない、券種の選択、金額の決定。そのプロセスは選択だらけ。毎レース迫られる選択という決断こそが、幸運をもたらす。だれかが与えてくれるわけじゃない。

だが、競馬には信じる者が救われるときがあるから不思議だ。たとえば、ステイゴールドの熱心なファンはステイゴールドの子孫を今も買う。私も現役時代、ステイゴールドには酔わされた。損もさせらたが、儲けさせてもくれた。なにより、今でも沸々の胸にこみ上げるものがある。だが、一方で、とにかく理解不能な馬だった。東京2000、京都3200、阪神2200と好走条件はバラバラ。今の現役馬に重ねても、こんな戦歴あるだろうか。これほどいつ走るかわからない。適性がつかめない馬はいない。散々、ツンデレを繰り返し、引退レース香港ヴァーズでGⅠをつかむ。そりゃ泣けるぜというもの。香港ヴァーズは前年にGⅠに昇格したばかり。これもよくよく考えると絶妙だ。あれから23年も経った。ドリームジャーニー、オルフェーヴル、ゴールドシップ、ナカヤマフェスタ、フェノーメノ、ウインブライト、インディチャンプなど子孫は広がり、障害界の名馬オジュウチョウサンまでいる。ステイゴールドを信じる人々は、これから先長きにわたり、信じ続けられる。だからステイゴールドは優しい。

ステイゴールドにGⅠ勝利も重賞初制覇もプレゼントしたのが武豊騎手だ。90年代に競馬をはじめた私にとって武豊騎手は大きすぎる壁だった。まず、武豊騎手の騎乗馬を吟味し、儲けられそうな隙間を探す。戦いだった。そして徹底的に打ちのめされた。決まって上位人気に騎乗する武豊騎手のすさまじさは今もはっきり記憶にある。最近もその手腕は変わっていないが、以前より穴を提供してくれるようになり、勝率のボーダーラインが7番人気勝率6.1%まで下がってきた。8番人気以下は落ちるので、7番人気なら買える。

エリザベス女王杯の騎乗馬ハーパーは執筆時点で7番人気。武豊騎手の穴としては最適だ。もともと、どう考えても中距離型で、マイルに挑戦しないといけない牝馬の初はしんどかった。そうみると、ふた桁着順のうち、気にしないでいいレースは多い。前走府中牝馬Sは緩みがなく、毎日王冠のラップを錯覚するほど一定で進み、適性がマイルに偏った。中盤で息を入れて、後半に備えるハーパーにとってはしんどい。前走府中牝馬S組は通常では9着以内が好走ラインだが、今年は少々、メンバーレベルがそうでもない。レガレイラが高評価だが、過去の傾向でも、3歳は世代限定の秋華賞、ローズSで好走していないと、古馬GⅠは苦しい。春はいばらの道を進んだがゆえの結果だが、ローズS5着はひっかかる。であれば、少し全体的にハードルを下げていい。このさじ加減は私の選択。それでいい。

なにより私が信じるは初ブリンカーという魔法だ。信じる者は救われる。初ブリンカーも救われる。ハーパーは調教でも使用していない。純粋な初ブリンカー。集中して走りさえすれば、その実力はお墨付き。これこそ初ブリンカーが好結果を生むパターンのひとつだ。競馬新聞の初ブリンカー一覧を欠かさずチェックし、すべてを買う人々だっている。さあ、GⅠで穴馬券を獲得する好機だ。

ステイゴールドの子孫を欠かさず買う人々がライラックを買うなら、これに乗っかるのも手。2年前のエリザベス女王杯2着は阪神での記録だが、昨年も府中牝馬S3着から本番4着と好走した。こちらもマイル路線の春は大きな着順を踏み、秋に成績を一変させる。ハーパーと同じだ。マイル、中距離と幅の広い牝馬路線では、春秋で勢力図が入れ替わる。3歳が強力とはいえないなら、今年は古馬の入れ替わりで穴を仕留める。豊よ、外4、5番手で勝機をつかめ。


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