オペラ座の怪人っていっぱいあるんだなぁ

 かの有名なオペラ座の怪人、この作品は数々の劇場版やミュージカル版が存在します。が、その時々によって全然異なるのをご存じでしょうか。それが面白~~!ってなったのでまとめてみました。感想記事を書いているものはリンクを張り付けています。

※関連したものを見たら追記予定。


そもそもなんで「オペラ座の”怪人”」なの?

 色々な「オペラ座の怪人」を触れてきて全く理解できないのがこの邦題。元は「Le Fantôme de l'Opéra」。英語では「The Phantom of the Opera」、日本語では「オペラ座の怪人」です。「Phantom」という単語を調べてみると「幻影、幻覚、幻、影」等の「触れられないもの、不確かなもの」的なニュアンスが出てきます。なんで「怪人」なの??

 調べてみたところ、そもそも日本にオペラ座の怪人がやってきたのは1925年のサイレント映画(字幕版)のようです。そしてその時の邦題が「オペラの怪人」。その後の1930年の書籍で「オペラ座の怪」。1943年版の映画でも「オペラの怪人」。1962年の映画でいきなり「オペラ座の怪人」となってるので、合体してるのがわかります。これは、初手翻訳失敗してそのまま使い続けたパターンでしょう。そもそも映画の邦題は大体変と相場が決まってるものです。でも小説翻訳は頑張ってほしかったなぁ!「怪人」って「生きてる人」のニュアンスあるじゃん!物語を理解できるまではそこは不確かであってほしいじゃん!


1909年 原作

 さて話を戻します。こちらすべての原点。ファントム(エリック)は歌の才能があり手品や建築の才能もある高スペック人間。けど年配で粘着質なストーカー。原作が一番醜い顔。幼馴染のラウルも結構気持ち悪い性格だしクリスティーヌも微妙な性格してるし出てくるキャラほぼ変な人たちの話。


1925年 サイレント映画

 一番原作に忠実だけど全然違うところもある。ペルシア人がルドゥ警部になってる。原作の映像化という意味では興味深かったけど、あまり面白くなかった。サイレント映画、合わないな~。


1943年 映画

 エリックをクリスティーヌの父として配役し、顔の醜さも後天的に付与され、クリスティーヌが舞台で活躍できるように暗躍する話。クリスティーヌが人の金でレッスンする能天気のくせに父の愛も献身もすべて意識せず受け取って最終的に活躍するので嫌い。結局父と認識できないし。あんまり面白くなかったな~。


1976年 ケン・ヒル版ミュージカル

 あまり舞台化されておらず日本でも全然公演しないやつ。2024年に観てくるので観たら感想追加します。ミリしらで行きたいため内容を全く調べてません。


1986年 アンドリュー・ロイド=ウェバー版ミュージカル

 原作に近いミュージカル。幼馴染兼恋人だったはずの老年ラウルがオペラ座のオークションに参加するところから始まる。ファントムはクリスティーヌに対してかなり気持ち悪い態度を取り、クリスティーヌは魅了と恐怖の狭間で揺れ動く感じ。
音楽がめちゃくちゃ良い。キャッチーな曲で記憶に残るものが多く、これがオペラ座の怪人の定番になったのも頷ける。けどキャラが好みじゃない。

2005年 映画

 アンドリュー・ロイド・ウェバー版ミュージカルを参考にしたミュージカル映画。ぶっちゃけあんまり覚えてない。ファントムへの気持ち悪さは感じなかったと思う。舞台や音楽がきれいで、よくわからなかったな~くらいの思い出。

2011年 25周年記念公演inロンドン

 25周年を記念してロンドンで公演されたもの。映像で観たところ、カメラワークがものすっごい!もちろん他もクオリティ高い。

2015年 劇団四季

 原作に近く、ファントムは気持ち悪いストーカーっぷりを出すし、クリスティーヌはファントムにめちゃくちゃビビってるのでギャグとして観てた作品。たしかこれが私の初オペラ座の怪人。
クリスティーヌが父親を求めて墓場に行ったのにファントムが電柱?か何かの陰に隠れてデーンと出てきたシーンは笑いをこらえるのに必死だった記憶がある。愉快な演出、大好き!
しかし感想を調べると「感動した」「泣いた」という声が多い。不思議。


1991年 アーサー・コピット&モーリー・イェストン版ミュージカル

 別名「ファントム」。小説を原作とした完全に別物。旧支配人の息子であるエリックは醜さゆえに地下に隠れ住んでおり、オペラ座には手出ししてなかったが道具係を一人殺してしまったことで最悪の事態が起こっていく。キャラの描写が丁寧。

2018年 宝塚

 一番のイケメン。全然醜くないしカッコいい痣だねって思ったエリック。宝塚だからなのか、恋愛的な要素が一番強い気がする。幽霊なのか幻覚なのかわからないが宝塚版はエリックが復活するのも面白い。

2023年 梅田芸術劇場

 役者によって解釈が変わるエリック。加藤エリックは陰キャオタクが推しに恋しちゃった話、城田エリックは体だけ大きくなった子供が母親を求める話。恐らく親子愛を重視しており、それがめちゃくちゃ面白い。大好き作品。


まとめ

 やはりオペラ座の怪人は歌ってこそだなと思うのでミュージカル作品が好き。そしてキャラ描写が丁寧なアーサー・コピット&モーリー・イェストン版の「ファントム」が好き!

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