書籍「書楼弔堂」感想
京極夏彦の作品。
すっごく面白かった!京極夏彦が書く作品は”哲学”やら”思想”やらを入れ込んでるものがほとんどだと思ってるんだけど、これはそれがとても顕著だった。というか、作品内でド直球に哲学語ってた。でも押し付けがましくなくて、多面的に思想を語るのが良い。その思想や執念や感情を京極夏彦は「妖怪・お化け」として語ってる作品が多いけど、この作品では「妖怪とはいないものである。目に見えないものである。だが、いるものである。それを感じ取ることが出来るものである」って語ってるのが、分かりやすくていい。
文明開化直後のお話のせいか、当時の著名人が色々登場するんだけど、その人物の思想の考察(だと勝手に思ってる)が、「ああ、もしかしたらそうだったのかもね」という話の持って行き方がとても好ましい。いや、私自身そこまで当時の歴史や文学に精通してる訳ではないから、詳しくはわからないけれども。「ああ、そうかもね」って思わせる書き方が好きです。読む人の考え方を多面的にさせると言うか。うーん、京極夏彦の作品、好きだなぁ。
あ、それと。まさか最後の方に中禅寺が出てくるとは思いませんでした。京極堂の…たぶん祖父なのかな?ここに繋がりが出てくるとは!思わず笑ってしまった。