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ゲーム「探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ」感想

 昔の有名な推理アドベンチャーらしい本作。PSNに入っていたのでやってみたところ、UIは微妙、グラフィック微妙、シナリオも短編集の読み物としてはちょうど良かったけどキャラが好きになれないな!という感想です。はい、つまり文句を言っています。苦手な方はご注意ください。

ジャンル:推理アドベンチャー
プレイ時間:19時間
媒体:PS5(PSN)


■ 探偵 神宮寺三郎シリーズとは

 プレイ前に調べて知ったのですが、ファミコン時代に発売された1作目から続くシリーズだそうです。内容自体はハードボイルド風推理アドベンチャーで、本作の内容を見る限りだと1つ1つの話自体はそこまで長くありません。さくっと読める推理アドベンチャー。


■ リメイク版 プリズム・オブ・アイズとは

 本シリーズはそこそこの数が出ているらしく、その中で携帯アプリ版だと24話ほど作られているようです。その中の10話+新作3話+新作おまけ1話がリメイクの内容っぽいです。


■ ゲームシステム

 基本的に単純なアドベンチャーシステムでゲーム要素はほぼ皆無です。

ストーリー選択

 本作は上記で説明した通り数話構成の短編集になっています。最初からすべて解放されているため、どこからでもスタートすることができます。

©ARC SYSTEM WORKS

ヒント

 作中では、次に何をすべきか悩んだ時にヒント機能が使えます。探偵神宮寺は「たばこを吸う」、探偵助手は「髪をかき上げる」、熊野警部は「ヒゲを触る」ことでプレイヤーにヒントを出してくれるわけです。かなり親切ですし、これらの一枚絵が表示されるので結構カッコいいです。

©ARC SYSTEM WORKS
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システム

 基本的なシステム。よくある設定は網羅されている気はしますが、本作はフルボイスではないので「ボイス」という欄に期待しないようにお願いします。ボイスが聴けるのはタイトルを選択した時、ストーリー選択時のあらすじ読み上げ、あとおまけ要素くらいなので……。

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あと根本的な話なんですが、メニューや選択肢を選ぶ時のタイムラグをどうにかして欲しい。今のこのご時世で、しかもPS5で、ラグを気にすることあるか!?どういう作り方してるの!?

力を入れていないグラフィック

 一応本作は「ハードボイルドな探偵」を売りにしているようなのですが、ハードボイルドな要素ってグラフィックやサウンドやストーリーや様々な影響から「これはハードボイルドだ!」と認識できるじゃないですか。でもね、本作ではイラストにハードボイルド要素がなさすぎると思うんです。
本作、アニメ塗りなんですよ。いえ、待ってください。アニメ塗りを下げているわけではないんです。昨今のアニメ塗りはすごい技術なこともわかっています。けど本作は手抜きのアニメ塗りにしか見えないんですよ。

一例に出すのがこのシーンなんですけど……

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…………微妙すぎないか?
これダイヤの指輪を微笑みながら見せるシーンなんですけど、アニメ塗りが微妙すぎて人物も魅力的ではないですし、さらに言うならアニメ塗りが下手くそすぎるせいでダイヤじゃなくて何かよくわからない白い石になってるんです。
そしてもう一枚微妙な例を出すんですけど……

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これはアニメーションの一部です。実際にはこのイラストがアニメーションとして動くわけなんですけど、本作に昨今の素晴らしいアニメ技術が採用されているとは思わないんで欲しいんです。本作のアニメは、一枚絵がただ左右に動いたりするだけです。この背景のぼかしっぷりもね、分かります?グラフィックに力を入れてないんですよ。

 参考までにApple版のリンクを繋げておきます。高画質では見れませんが、スマホ版の方がハードボイルドなグラフィックに見えます。

ゲーム要素

 基本的に本作はテキストを読んで、場所を移動して、メニューや選択肢を選択するくらいしかゲーム要素はありません。ですが今回追加されたストーリーでは、今までに見たことのないゲーム要素がいきなりぶち込まれます。いや、リメイクなんだから全部にそういう要素入れろよ。

たとえば死体を確認したり、

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今まで得た情報を披露して「犯人はおまえだ!」みたいなことをします。

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UI

 勘の良い方ならすでにお気づきかもしれません。ぶっちゃけますが本作のUIはダサいです。本作はリメイク作品なので、昔のUIだからダサいのかなと最初は思っていたのですが、そんなことはありませんでした。普通にダサいです。本作を知らずにこの感想を見ている方はぜひこの画像だけでも見て帰ってください。

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はい、ダサい!!!!
通常画面がこんな感じなのですが……あの、わかりますかこの異様なダサさ。ハードボイルドなんだよね?ハードボイルドってもうちょっとカッコいいデザインなんじゃないかな!?

さらにイライラしてしまうのがこちら。UIに字数が合ってない問題。わかりますか?字が枠からはみ出してるんですよ。さすがに調整しろよ!!!!

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バックログも文字数の調整されてなさがバレていますね。キャラクター名のサイズを小さくすることで解決するという結構な力業です。やり方はダサいけど解決してるのでいいのかもしれない(そうか?)

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背景

 背景も結構違和感を覚えます。たとえば、とあるご自宅の一軒家の玄関前。

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一軒家の玄関前なはずなんですがキャラクターの表示位置と背景の位置が全く合っていません。一軒家を下から見上げている構図になっているため、プレイヤーとしては「あれ?主人公が小さくなった?」と思うレベルです。好意的に見るのであればこの玄関は階段の上にあって、その階段から玄関を見上げている構図かもしれませんが、そんな文章は一文もないですし、階段をあがるようなサウンドもありません。となると、ただ単純に背景が変。

地図

 地図のデザインだけは唯一まともなのですが、なんていうか、ゼンリンのデータそのまま映してる?と思えてしまう出来です。独自で作った地図じゃないでしょこれ。

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~~~~ネタバレするよ~~~~






■ リメイク版

 Noの順番がいくつかすっ飛ばされているものがありますが、これらが収録された本作の内容なのでこのすっ飛ばされた状態が正しいものとなります。なぜこの収録本数&収録Noなのかは不明。
ちなみに、作中で別の事件のことをよく引用したりするため、それがすっ飛ばされた事件の内容なのか、実は描写されてなかった事件の内容なのかは一切わかりません。

共通

 探偵神宮寺三郎と、助手の洋子、なぜか探偵に情報を横流ししまくる熊野警部がメインの人物です。

No.4 時の過ぎゆくままに

 仲が悪い家族内での一悶着を超えたハートフルストーリー。ハードボイルド探偵モノと聞いて勝手に殺人事件が発生すると思っていたので、かなり肩透かしを食らった回。でも肩透かしだけど嫌いではないです。
しかし、暴漢(?)が人質に取った子供が実の孫で、その子供の骨折るぞって脅すのはすごいですね。実の孫だと知らなかったとは言え、孫の好感度がゼロにならなくて良かったね。

No.6 6枚の犯行

 マンションでの殺人事件の話。念願の殺人事件だ!と喜んだのもつかの間、被害者である父親が気持ち悪すぎてドン引きしながらプレイする羽目に。娘に構いまくって嫌われ過ぎて、娘の一人暮らしを許してもその部屋に監視カメラ付け、娘の隣の部屋に金で雇った人を住まわせて報告させ、自身は最上階で娘の部屋の監視カメラを見ている……。本っっ当に気持ち悪い。これが被害者なのはすごいだろ。
最後には良い雰囲気になっていましたが、このキャラ造形が気持ち悪すぎてついていけませんでした。登場人物たちもなんとも言えない雰囲気になってるし。もしかしたら神宮寺三郎というシリーズは変人のオンパレードなのかもしれないと思い始めていた頃。

No.7 亡煙を探せ

 政治家の闇を暴く王道系の事件。これは普通に面白かった! 整形した偽物を利用して本物が偽物役を演じるのはなかなか好きな設定でした。しかし、この偽物くんは拷問されたあとすぐ整形させてるので、ダウンタイムの考慮は一切なしなのか!?って思ってしまいました。顔パンパンに腫れてると思うが。なぜか推理モノだと整形が便利に語られがち問題ありますよね。

No.8 アオイメノリュウ

 まさかのヤクザと麻薬と麻薬取締官の不正の話。面白かったです! が、探偵同業者である竜についてはぶっちゃけよくわからない……。今後また出てきそうな引き方をしているけど、今までも「こいつは今後も出てきそうだな」と思った人が全く出てこないので、もしかしたら本シリーズは主要キャラだけ同じなだけで時系列とかそんなものは考えられていないのかもしれません。それもそれでどうなんた。

No.11 イヌと呼ばれた男

 刑事が探偵を利用して事件を追う話。刑事が小説家と偽って探偵に依頼し、現場検証させるという発想はとても面白かったです! その後、犯人を追いつめて自殺させてしまったのを警官が後悔するのはいいとして、遺族側からは責められる謂れはないだろと思ったので本作にうまく感情移入できていない感じがします。でもさ~、その犯人は横領していて、その横領をした結果、二人(恐らくそれ以上)死んでるんですけど……遺族はそっちに謝罪すべきで警察にヘイトを向けちゃダメだろ。

No.12 ふた色の少女

 スリの女の子を更生(?)させる話。スリに協力している少女の話は良いとして、その事情をぺらぺら第三者に話し過ぎでは?許可を得てから喋りなよ。そしてトラウマに踏み込みすぎでは?
そのトラウマがすべてが公表された結果、ワイドショーに取り上げられたことを特に重要視せず「これから大変だろうが支え合う人がいるから大丈夫だ」って言うのは無責任すぎじゃないか……?暴いたのおまえだよ。

No.14 託された指輪

 父親が死んでから周囲がきな臭くなって探偵に助けを求めた話。父親が死んだと思ったら知人二人にしょっちゅう付きまとわれることになり、さらに事件が進んでいくと派手な事件になっていくのですが、プレイしてた時は地味だと感じてしまいました。知人二人の正体や対立構造は面白かったのに。発想は面白いと思えるんですけど、手放しでこの話面白い!と思えないんですよね。

No.16 椿のゆくえ

 インターネット上の友人に会えなくなったのでなんとか調べて直接会いたいと依頼された話。主人公のこと完全に嫌いになった話でもあります。人のプライベートなことを聞いたら誰かに話さずにはいられないのがキツイ。あと作中で探偵に「死んだ人間の履歴書だからあげるよ~」って言って渡されるのがやばすぎ。今の倫理観だと無理すぎる~!

No.18 果断の一手

 脅迫されている将棋バカの父親と父を心配する娘の話。神宮寺があんまり前に出なかったおかげか面白さを感じました! 結局父親は将棋にしか集中できないし父親にふさわしくないのは変わらないけど、弟子と娘の「父はもうしょうがないからいいか……」という諦めと父が病気ゆえの優しさを感じて良かったな。リアル感あった。

No.19 連鎖する呪い

 過去にやったことが返ってくる話。過去からの因縁で緻密に練られた事件なのか!?と思いきや全部行き当たりばったりで偶然犯罪チャンスがあったからやっちまったってだけのショボい事件だったので本当にガッカリしました。途中までは好きな盛り上がり方してたのに。短編ゆえの短さなのかもしれないですが、毎回尻すぼみで盛り上がりに欠ける。

■ 新作

魔鏡の真実

 探偵ではなく熊野警部が主人公で殺人事件を解決していく話。警察の情報を簡単に流すな~~~~ッ!!!警察の肩書を探偵に便利に使わせるな~~~ッッ!!!
熊野警部視点だと思った以上に情報漏洩しまくっててコイツやばくないかとソワソワしてしまった。神宮寺とか出さなくていいから一人で解決してほしい。展開自体は嫌いじゃなかったのに倫理観が合わない。

虚飾ノ夜

 大企業の社長が過去の事件のせいで狙われる話。なんで赤の他人が入れ替わり成立させられるんだよ!しかも数十年一緒にいた人を前にしても声を出さなきゃ気づかないってどういうことだよ!この伏線に何か秘密があると思って期待してたのにマジで他人だったのでガッカリしました。

死者に捧げる石

 麻薬組織を追う話。流れで麻薬組織を追うことになった話だったけど結局逃がしたので何も解決してないじゃん!と思ってしまう。何がしたかったんだ?
ただストーリーよりこの話でいきなりボタン配置が変わるクソ仕様になったのでイラついていました。どういう意図かさっぱりわからん。じゃあ全部その仕様にしろよ。


■ おまけ

謎の事件簿

 おまけギャグ時空シナリオ。推理失敗するとゲームオーバー(コンテニューあり)。こっちの方がゲーム性あるってどういうこと!? しかも話のテンポもこっちの方が良い。本編がんばってくれよ!!

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パスワード

 本編中に見付けられるキーワードを入力すると色々なおまけ要素(キャラボイスやグラフィック等)が見られるおまけ。普通のおまけでした。

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■ まとめ(ネタバレなし)

 プレイ時間は19時間。暇つぶしにはちょうど良いでしょうが、当たり外れの大きい短編集なのであまりオススメできません。UIも本当に微妙だし。あとほとんどが過去配信済みの話なので過去作ファンにもオススメできません。
もしそれでもやるならスマホか携帯ゲーム機が良いかと思います。ゴロゴロしながらちょっとずつ読むスタイルだったら良さそう。PSでやるもんじゃない。

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