「大切な過去の記憶のために。」
誰にでも忘れたくない思い出はあるだろう。
その男にも何よりも忘れたくない大切な過去の記憶がある。それを脳に焼き留めておくために、ただそのためだけに毎日働いて毎月積み立てを続けている。
何かの行動と記憶を結びつけていけばより強固な記憶となり、それが出来るだけ長期間記憶を繋ぎとめておく唯一の方法だと信じて。
何もしないと徐々に頭の中から重要な記憶かすっぽりと消えていってしまいそうで怖いからやめる勇気もない。
積立の目標額などはない。いったいいつまで続けていれば心が落ち着くのだろうか。
使い道は考えてはいるようだがそれは受け入れられない可能性が高い。
もし積立という行為をやめた時、その男は生きる意味や目標を失い、抜け殻同然となってしまうかもしれない。
記憶保持のための積立はその男の人生とともに今後も続いていく…。
-End-
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