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ユーザビリティ評価のあれこれを考えるきっかけをもらった2日間

Xデザイン学校のユーザビリティテストワークショップに参加した。通常の講義とは異なり半自主ゼミみたいな形式で、構造化シナリオなどこれまでのコースで習ったものとユーザビリティテストに関する大枠のレクチャーを土台にして、ユーザビリティテストのタスク設計から実査・分析までを「自分たちで一通りやってみる」というものだった。いつも講義ではオンラインなのだけど、今回はリアル開催ということで東京は市ヶ谷のキャンパスまで行ってきた。

ユーザビリティの評価の仕方ってどう変わっていくんだろう

ワークショップ終了後の帰りの新幹線で、ワークショップ冒頭に行われたレクチャーのメモを読み返してみると、なるほどーと思うことがいっぱいあって。。。

そのなかで特に気に留めたのが、「対象システム(PCとスマホと)によって適切な評価の方法は変わりうる」ということだった。

PCとスマホだとクリックとタップといって概念が違うし、ページの考え方も違うというのだけど、この辺ってモバイルファーストによって体験設計のコンバージェンスが起きているような気もした。モバイルファースト時代におけるPCサイトのユーザビリティの捉え方も、従来のPCファーストのユーザビリティから変わってきているんじゃないだろうかと。

そう思ってウェブサイトやアプリのこれまでを思い起こしてみると面白い。昔ウェブサイトはPCありきで設計されていて、モバイル向けはその後で作るみたいな感じだった。ガラケー時代はそもそも端末がPCのサイトをそのまま表示できるスペックではなかったからガラケー用のページが作られていたけど、iPhoneが登場してから状況が大きく変わった。

今ではスマホ向けのページをつくるという概念すら古くて、最近ではアプリという概念すら変わってきているように感じる。マイナポータルとか行政手続きの仕組みもサービス間で行き来するのが当たり前になっているし、アプリなど使わずガジェットだけで成立するサービスだってある。そんな時代のUIってもはや多面的でカオスだよなぁと。。。

Google AnalyticsがGA4にアップデートされ、これまでPV単位で見ていたユーザー行動のデータモデルがイベント単位に変わり、一度ページから離れたらそれで終わりではなく別のページに行ってまた戻ってくる、そういうページやアプリ間の行き来全体でアクセスログを分析できるようになった。

そう思うと、今回の演習ではPCで一つのウェブサイトを閲覧するという前提でユーザビリティを評価したけど、それだけでは済まない時代になっていて、今のWEBサービスを提供している会社は、どのようにユーザビリティを評価しているんだろうと興味を持った。何かしら評価のアップデートの研究とかなされているんだろうか、現場は果たしてどうなっているんだろうか。

独学でのトレーニングは難しいと思った、ので・・・

ただ、そもそも従来の評価方法すら自分は知らなかったわけで、その意味でも今回こうして一通りタスク設計からNE比の導出まで一通りこなしてみることができたのは、とてもよい経験だった。どうやったらNE比の精度を上げられるのだろうとか、「仕事のこういう場面で使えるかも?」とか、アウトプットの仕方をいろいろイメージできるようになった。つまり「またやってみよう」と思えた。

たぶんXデザイン学校の各コースを修了した人は、何かしらXデザイン学校で習ったことを、仕事なりプライベートなり、自身の周辺でアウトプットしてみたりしていると思う。自分もそうなのだけど、でも自分の最大の課題は周囲にUXデザイナーとかがいないことで、手法の研究的なことができず、どうしても滋賀に留まってると「独学」が過ぎてしまう点にある。今回のワークショップではそのことに気付かされた。

今回一緒に取り組んだのは「Xデザイン学校のベーシックコース修了生」という一定同じバックグラウンドをもった人たち。なぜユーザビリティテストで構造化シナリオが大事なのか(失敗したけど)とかいう基礎的な認識を共有できていることもあり、タスク設計を組むときも実査の前後でも「汎用的に使われているアクティビティシナリオのシートにタスクの欄が入ってるのって本当は邪魔じゃない?」と意見したり、「被験者が発話しないときに『いま何をしたいと考えてますか?』と声がけしたのはよかったよね」とフィードバックしたりしたのだけど、ああいうモーメントが独学では存在しえないのですよ。

そういえばグロービスでも卒業生どうしが自主ゼミ開いてケーススタディやってるとかいう話を聞いたことがある。そういえば前に美容院の人からも、定期的に全国の美容師どうしが集まってワークショップやってるとかいう話を聞いたことがある。自身の仕事などでは独自にHCDの実践に励みつつ、一定の頻度で同業者というか同じプロの人たちとの手法研究みたいな場をつくったほうが、良質なアップデートができるんだろうなぁと思った。

今回ユーザビリティテストの熟練者みたいな人がいないなかで取り組めたのも心理的安全性的によくて、「お前なにズレたこと言うてんねん」みたいなことを言われそうな心配もなく思ったこと感じたことを話し合えたのもよかった。そういう意味ではXデザイン学校のコース修了者とか、そういう人たちでの自主ゼミとか作れるといいんだろうなぁ。

こういうのは色々深く考えたり企画しまくると、いろんな人の顔色を伺ってしまうものなので、まず気心知れた仲間うちでやってみるみたいな形で取り組みたい。というわけで、早速何人かの人たちに声をかけてみるし、もし一緒にやろう!と思ってくださる人たちいたら是非声かけてくださいw

おまけ

ワークショップ終わりの飲み会が楽しかったときは、ワークショップ行ってよかったと思えるものでw。2日目は本当は行く予定がなかったのだけど、どうしてもチームの人たちと振り返る時間がほしくて参加した。で、参加してすごくよかった。あのテンションで、新幹線のなかでこのnoteを書いたw

ビアバッシュはその1日の学びの外化を助けてくれる。実は外部にアップできる写真はこれぐらいしか撮れてなかったのだけど、このモーメントこそがなにより独学では存在しえない。このためこそに集まりたいw

改めて、今回のワークショップに参加された皆さん、そしてこんな貴重な機会を企画いただいた浅野先生そして花井さん、本当にありがとうございました。