初羽織が薄羽織
着物でお出かけする際に一枚羽織ると帯が何かにひっかかったりする心配が無いし、着付けが多少着崩れても安心です。そして何よりおしゃれだと私は思っています。冬ならコート、中間期なら道行を上に羽織るようになると、夏にも何か羽織らないと心もとない気がしてきました。昨年あたりから薄羽織を探していたのですがなかなかピンとくるものに出会えずにいたところ、ついに今夏、出会ってしまいました。
昨年、いつものきものサロンで決めかねて誂えるのを見送った、墨色の夏結城がずっと気になっていたため、サロンの渡辺さんにお願いしてもう一度見せていただくことに。その他にも薄羽織に良さそうな反物をいくつか提案していただきました。その中で私が選んだのは、紺青色に白い横の波縞を染めた夏着物の反物。新潟県小千谷市の織元のもので、緯糸に強撚糸を使用してありサラサラとした触感で濃い色地ですが清涼感のある生地です。肩に当ててみた瞬間、昨年気になっていた墨色の夏結城が途端にかすんでしまい、他の反物が目に入らなくなってしまいました。反物との出会いとはそんなものでしょうか。渡辺さん曰く、薄羽織はたくさん持つものではないし、そもそも機能として夏には着なくてもよいものだから、本当に気に入ったものを選んだほうが良いと・・・。さすが商売上手!というわけで、6月初旬に仕立てをお願いした薄羽織が7月に入ってできあがり、梅雨明けを待って小千谷ちぢみに合わせてみました。確かに、機能としては着なくてもよいのでしょうが、小千谷をTシャツとすると薄羽織は涼しい素材のジャケットって感じ。7月末には湯河原旅行を予定していたので、夏羽織で着物旅行!!!と決めていました。
子供時代に黄八丈のアンサンブルの羽織を着たことはありましたが、自分で初めて作ったのはこの薄羽織です。楽しみにしていた7月の湯河原への着物旅行はコロナ禍のため脆くも消え去ってしまった今年の夏、ちょっと切ない初羽織が薄羽織の着物がたりです。
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