見出し画像

南風原町かすりの道を歩きました。

「沖縄唯一、海のない町。」・・・沖縄南部にある南風原町(はえばるちょう)のパンフレットのちょっと変わったキャッチコピーです。琉球絣の里として前々から気になっていたのですが調べてみると、一般社団法人南風原町観光協会主催の織元の工房をめぐるツアーがあることを知り参加してみました。ガイド付き約3時間コースの「かすりの道町歩きツアー」です。

当日はかすり会館を出発し、「かすりの道」沿いにある丸正織物工房さんのショップと住居兼工房、大城廣四郎織物工房さん、古民家の謝名家、大城織機製作所さんをめぐりました。参加者は私たち家族2人でしたので、私たちのペースで私たちの興味関心に合わせてめぐるとても大満足な内容でした。

中でも丸正織物工房さんでは興味深いお話がモリモリでした。お話いただいた3代目の大城幸司さんは、伝統と革新をどちらも大切にする琉球絣の若きリーダーという感じ。
琉球絣の文様や色柄についてのお話が興味深かったです。文様は代々伝わる「御絵図帳」にある約600から選びます。当初は新作の文様をあれこれ考えたそうですが、結果、600の中にすべてあるということがわかったとのこと。文様が大きくて色がはっきりした古典柄、すっきりとして落ち着いた現代柄。古典から現代のものまで数種類の反物を見せていただきました。確かに、古典柄にはなぜだかとても惹きつけられる魅力があるものの、現代の着物としてはあまり着られないだろうなぁ〜、と思いました。1970年代頃から琉球絣が内地の着物業界の流通システムに入るようになり古典柄ではなく現代柄の着物の売れ筋路線に主流が移行していったようです。

偶然にもツアーに参加する前に、沖縄県のフリーペーパー「沖縄手しごと通信」で、丸正織物工房の大城幸司さんと琉球舞踊家・組踊立方の玉城匠さんのスペシャル対談記事を読んでおりました。その記事を読んでからのご本人のお話でしたので、その内容がもうスルスルと入ってきました。
記事には、舞踊衣装には大きな柄、沖縄らしさが求められるので古典柄が中心であること、古典には高い技術が必要であること、ただし作る所が減っていること、でも丸正織物工房さんでは続けなきゃいけないと考えていること、などがありました。
例えば、記事にあった次のくだり。
「やっぱり古典柄はものづくりの軸足だと思う。織る技術もですが、糸を染める前、防染のための括る作業もまた大変。難しいけど、基礎的な技術の要素がいっぱい詰まっているんです。」
記事で予習し、ご本人からお話を聞くことで本当にそのものづくりの姿勢が伝わってきました〜。

お話の後には、箪笥からお祖母様のものだという筒状の袖の羽織を出していただき羽織らせていただきました。表は絹と綿を織った半絹というとても渋い絣、羽裏もまた異なる文様の絣。昔は派手な紅型を羽裏にしたこともあったそう。琉球紬を実際に羽織ることができて大感激でした。古典と現代をつなぐ琉球絣の歴史の道を歩いた着物がたりです。

いいなと思ったら応援しよう!