キラキラカレシ マキオ 4|マウントをとらずにいられないのはなぜ?
バッターボックスに立ったことのないコーチから指導を受けたがる者はいない。だがバッターボックスに立ったことがないにもかかわらず指導したがるコーチは多い。
否定
足のケガが治りようやく外出できるようになったころ。
マキオの母親と姉が餃子を振舞ってくれるとのことで、二人そろってマキオの実家へ向かうことになった。
車中で、学生の頃にボランティア活動をしていた話をした。
マキオはこうコメントした。
「はぁ?ボランティア(笑)?なーに偽善者みたいなことしてんの?」「や、だって偽善者でしょそれ(笑)」
偽善者?
まただ、何を言われたのか理解するまで時間を要するやつ。
そして崩壊
わたしの涙腺は押さえ込んでいたものを一気に放出しはじめた。
その時の言葉だけではない。
たぶんこの頃さらされ続けていた様々な場面での違和感やそれら理性によって抑えていたものが、一気に崩壊した。一度あふれだすと止まらなかった。
マキオは少し顔をしかめた。
わたしの涙は止まらない。
しかたないのでマキオにこう告げた。
今日は、もう、帰るね。
次の瞬間だ。
マキオが激怒した。
「はあ?なに?なにがそんなに気に入らないの?高飛車?女王様のつもり?いい?オレのお袋とねーちゃんは、オレたちのためにわざわざ準備して待っててくれてんの。朝から!わかる?悪いとか思わないの?なんで?なによ!なにが気にくわねーの!」
もう悲しい気持ちで一杯で、誰かに笑顔をむける自信がその時のわたしにはなかった。帰りたい。ただそれだけだった。
嘘の笑顔
しばらくのあいだ車をとめて、結局押し切られるようにわたしが折れ、顔を整え、マキオの実家へ行き、彼の家族と食卓を共にした。
マキオの母親と姉と話した。
笑顔をつくったが心は沈んだまま。
一刻も早く帰りたかった。
何を話したのか少しも覚えてはいない。
自問
彼は話を聞く態度ではなく、偽善と決めつけ否定した。
わたしがボランティアをするのは偽善?
偽善者が集まるボランティアこそが間違い?
それともマキオはわたしの何かに嫉妬した?
さておき食事に招待されながら愛想笑いできないなんて未熟?大人げない?
食べながら自問しつづけていた。
謎コーチング
食事を終え、帰路についた。
マキオは言う。
「食事が台無しになるかと思ってヒヤヒヤしたけど、なんとかなってホッとした。ウチのお母さんと姉貴、すごく気をつかってくれたと思うよ。こんどなんか恩返ししなきゃね。調理とか片付けとかすすんで手伝いなよ。」
この日は、「偽善者呼ばわりマウント → 餃子 → 説教 」というコース内容だった。
日々すこしずつ、わたしにとっての現実が、心が、ちぎり取られてどこかへ隠されていくように感じる。
マキオが無責任に放つ一言一言に振り回されている自分と、振り回されたくない自分がいた。
なぜ
なぜマキオはマウントをとらずにいられない?
彼にはボランティアの経験などないだろう。
「それ何かメリットある?」が口ぐせの男だ。
「偽善」が彼の経験やなにかしらの実績に基づいた結論でないことだけはわかる。
だとすると、やはり嫉妬?
自身とわたしとの間に差異を感じて、瞬間、わたしを引きずり降ろそうとしたのかもしれない。あるいは、奥歯をギリギリさせながら追いつこうとした?
いずれにしても、わたしとはまるで違う。
マキオはどんな世界線を生きている?
*モラハラ・ポイント*
マウント
責任転嫁