本は、本来、それぞれが一つの命を持っている。どんな重厚な物語であろうと、どれほど軽いエッセイのようなものであろうと、薄い写真集であろうが、子供向けの絵本、マンガであろうが、書き手や表現者の想いとメッセージがふくま含まれている。たとえ地味であったり、無名の書き手によって書かれたものであっても、それが面白い!これが読みたかったという読者と出会う限り、その本は、その読者にとって最も良い本だと言えるのである。ベストセラーの横に、まったく知らない本がさりげなく並んでいる。でも、堂々としている。輝きはちっとも引けをとらない。埃にまみれて、どこかの古書店の奥に埋もれていたような本が、幅によって陽のあたる所へ呼び出されて、再び命の輝きを放っている。