![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85920351/rectangle_large_type_2_f9889b9e46025cb1b2c4f5632b3aabe7.png?width=1200)
「悔やまない」と言えるだろうか
俳優であるその人にのめり込み、
過去その時間を、舞台と客席で共に過ごした。
そんな経験はありませんか?
その人の訃報を聞く時、
舞台の想い出、情緒あふれる歌声、
たくさんの事が頭の中を駆け巡ります。
わたしにとってそれは、俳優 久野綾希子さん(享年71歳)です。
2022年8月22日 この世界から旅立たれました。
ミュージカルというジャンルがまだ日本に根付いていなかった1982年。
劇団四季は「エビータ」というミュージカルの初演を、日比谷の日生劇場で上演しました。
その主役「エビータ」を演じたのが、久野綾希子さん。
それが私とミュージカルの出会いでした。
その彼女の訃報を聞き、そしてその年齢までさほど遠くない道のりにいる私は、考えました。
「今、この世を去ることになったら、思い残すことはないだろうか?」
・あの本、読みたいと思って手に入れたけど、ずっと読んでいないな。
・エクステンションカレッジで学びたいと思ってそのままになっているな。
・毎週プールで泳ぐ計画をたてて、1年以上になるな。
・世界を取り巻く情勢が不安定だからと、渡航を先延ばししているな。
たいして忙しくもないのに「忙しいから」「時間がないから」と理由をつけて後回しになっているもの、実行していないものがたくさんあります。
時間なんて、作ろうと思えば少しずつでも捻出できるのにしていない。
それは、10年後20年後、自分がまだ生きている、時間は永遠にあると思っている、からかもしれません。
何かを考え直すキッカケは、必要な時にやってきます。
今回、私にやってきたこのキッカケは、悲しいものではありましたが
「時間は永遠じゃないよ」と教えてくれた、大切なものでもありました。
私にとって、今が考えなければいけない時です。
考えをめぐらせ、頭の中を整理して、後悔しない道を歩きたいと思います。
久野綾希子さんは劇団四季時代、多くの主要な役を演じてこられました。
・ジーザスクライストスーパースター マリア役
・ウエストサイドストーリー マリア役
・キャッツ グリザベラ役
そして、コーラスライン ディアナ役
ディアナはこの作品のラストで
What I did for love (日本語訳 愛した日々に悔いはない)
というナンバーを歌い上げます。
そのメロディーが歌詞が、わたしの胸にささります。
悔いのない道を進もう、という気持ちになります。
Gleeというドラマでこの歌が歌われていた場面の動画を紹介します。
ぜひ聴いてみてください。
悔やまない
選んだ道が、どんなに辛く、この日々が報われず、過ぎ去ろうと。
泣かないわ
好きだからこそ、命燃やした、この日々に口づけして、別れよう。
ああ、この愛を胸に抱き、明日を生きよう。
ためらわず、思いのままに、全てを捨てて
生きた日々に悔いはない
この道を ひたすら
ああ、この思い 胸に抱き 別れ告げよう。
悔やまない、好きだからこそ 命燃やし
全てを捨てて
生きた日々に悔いはない。
ひたすらに、この道を
久野綾希子さんのご冥福をお祈りいたします。