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憧れの古民家改修。床張りと漆喰塗りをやってみる。

東京から香川への移住を決めた当時、とにかく古民家への憧れがありました。新築の家とか、最初からきれいで使いやすい家とかではなく、ぼろぼろ、とまでいかなくても改修が必要な古民家を自分の手で直す、というのを体験したがっていました。

今は新築もいいなぁと思うのですが、当時はとにかくなんでも自分でやってみたいお年頃だったので、最初から完成している家なんてつまらないなぁと思っていました。

そして、イメージ通りのお家に巡り合うことができました。しばらく空き家になっていて、あちこち改修が必要なので、家賃も安くしてくれて、手入れも自由にどうぞ、ということで、とてもありがたいご縁でした。

まずは、憧れの床張りから!

トイレと廊下の床がぼろぼろになっていたので、その上から床を張ることにしました。調べてみると、専用の床板はけっこう値段がします。そこで、近所のホームセンターで売っているSPF材をただ敷き詰めてみることにしました。

ぼくは化学物質に敏感なほうで、なるべく化学物質を使用していない自然な素材を使いたいと思っていたのですが、SPF材がどうなのかはネットで調べても情報が見当たりませんでした。塗装はしていないように見えるけど、輸送の際に殺虫剤などを使用している可能性も考えましたが真相はわからず、最後は自分の感覚が頼り、ということで、お店で売っているSPF材に鼻を近づけてクンクン…。すると、臭いが気になるのと、そうでないのがあり、臭いが気にならないものを選びました。

当時、電動工具も使っていなかったので、釘を金槌で打ち付けるだけの簡単工事。専用の床板を使わなくてもSPF材を敷き詰めただけで、廊下を歩くには充分でした。床の長さに合わせて板をノコギリでカットし、釘で打ち付けていくというのはなかなか根気の要る作業です。床張り体験はこれでひとまず満足。

その後しばらくして、敷き詰めたSPF材が反ってきて、廊下を歩くとみしみし音が鳴るようになりましたが、そのくらいはご愛嬌ということで…。プロの仕事だったら完全に失格ですが、自分が暮らす空間は自分が満足できればOKなので、気楽なものです。

床張りのほかに、壁の漆喰塗りにも憧れがありました。これにはひと通りの道具を揃える必要があります。鏝板、鏝、トロ船、練り鍬…これらを買い揃えると、左官屋さん気分。

漆喰といっても、いろんな製品があり、どれがいいのか迷いました。漆喰というと自然素材だというイメージがありましたが、成分をよく確認しないと、原料はものによってまちまちです。ぼくが選んだのは、消石灰、大理石粉、麻すさ、海藻のり、植物性のりが配合されたもので、これにまずは水を加えてよく練っていく必要があります。麻すさが塊になっていて、それをよく練って均一にするのに体力と時間を要し、なかなか塗るところまでいきません。電動の混ぜる道具があるとラクだと思いますが、専用の練り鍬で人力頼り。庭でせっせと混ぜました。

最初のうちは、水加減もよくわからず、かたすぎて塗りにくかったり、柔らかすぎて鏝で扱うのが大変でごく薄くしか塗れなかったり。いきなり職人さんのように上手く塗れるはずもなく、漆喰を床にポタポタと落としまくりです。ネットで検索すると、プロの方が漆喰塗りをしている動画がいろいろ出てくるので、参考に見てみたけれど、同じ漆喰というものを扱っているとは思えない動きで、塗るスピードも速すぎて、次元が違いすぎてあまり参考になりませんでした。でも、試行錯誤しながら経験を重ねているうちに、だんだん、ちょうどいい水加減がわかってきて、鏝の扱い方にも慣れてきました。床に漆喰を落とすことも減り、習うより慣れろで上達していきました。

漆喰塗り、案外筋があるかも、と思い、左官屋さんになったとしたらどうだろう、と想像してみましたが、来る日も来る日も誰かの家の壁を塗り続けるのは飽きっぽいぼくには到底無理そうだと思いました。

ぼろぼろだった壁にきれいに漆喰が塗れて真っ白な美しい壁になると、なんとも清々しい気分になれます。白は光を反射して部屋が明るくなるし、漆喰の調湿効果で家の中にカビも生えにくくなるし、やっぱり漆喰はいいなぁと実感しました。

ただ、家中の壁を自分で塗っていくとなると、想像以上に大変でした。未だに漆喰塗りは途中で、台所に漆喰を混ぜたトロ船が置きっぱなしになっています。まだまだ塗りたい壁がたくさんあるのですが、完成するのはいつになることか…。

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