【創作BL】たからもの
現在Amazon kindleで無料キャンペーン中(~5/7)の『お化け屋敷の椿姫』の番外編ssです。
私は受けに訳アリピアスを開けさせたがる性癖があります。
※※※
「あれ? お帰りなさい?」
看護師として、個人経営の小さな病院で働く優也は、帰宅時間が一定である。対して同棲中の恋人は、介護福祉施設でアルバイトをしつつ劇団に所属しているため、帰宅時間がずれ込むことも多い。
とはいえ、このご時世で劇団の方は休業中。youtubeチャンネルを開設して、即興演技などはアップしているものの、彼の目指す演劇とはかけ離れている。
施設のバイトシフトは、優也も把握している。
今日は遅いなあ、とは思っていたが、帰りに買い物をしているのかもしれない。食料品や日用品の購入は優也がメインで行うが、咲人はシャンプーや石鹸、スキンケア用品などに人一倍こだわりがあるので、そうした品々は個人で購入してもらっている。
鍋の火を止めて、優也はリビングへと向かう。
家族を亡くし、天涯孤独の身である咲人は、帰宅時に必ず「ただいま」を言う。その言葉に対して、「お帰り」をサボると、手がつけられないくらい怒る。優也と咲人の喧嘩の八割が、だいたい挨拶をしなかっただとか、そういう理由である。
だから、彼がするりと音もなく帰宅したことに、優也は違和感を覚えた。こういうときの勘は、外れたことがない。殊に愛しい愛しい恋人が相手ともなれば。
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