なぜ看護師は過酷で忙しいのか考えてみた
こんにちは、はよんです!
すっかりフルリモートワークが定着しているので、最近は自宅でできる自重筋トレをコツコツ継続しています。まだあまり変化は分かりませんが、継続は力なりを信じたいと思います。
今回の記事では、看護師が過酷で忙しい理由について、私なりの解釈を書きたいと思います。
どの仕事でもどんな職種でも忙しいし、仕事が忙しい方の方が多いと思います。
看護師だけが飛び抜けてどの職種よりも絶対量忙しいとは言い切れませんが、個人的には「看護」だからこその忙しさもあると思っています。
そして看護師の忙しさを語る上では、大前提としてそもそも看護師が何をしているのかという部分を少し理解する必要と考えているので、その部分も含めて書きたいと思います。
なんとな〜く「看護師って忙しそう」と思われている方から、「看護師って何やっているの?」と思われている方にまで、看護の現場や看護師の現場を少しでもイメージして頂けるような内容になるよう心がけたいです!
看護師は一体何をしているのか
「看護師は何をしているか」と問われると皆さん何を想像しますか?
傷口の消毒
診察の時「●●さん」と名前を呼ぶ
注射をする
ベッドのシーツ交換をする
これらは全部正解です。
保健師看護師助産師法(以下保助看)で看護師は、
と記載されています。(※じょく婦とは、出産後の女性です。帝王切開などを除いた産後の女性は傷病者ではないのでこのように記載していると思います)
つまり看護師は療養上の世話と診療の補助を行います。
また保助看では以下の記載もあります。
なんとなく難しいので、とてもわかりやすくまとめてくれている図を発見しました!
BとCが看護師の業務ということになります。
Bの具体例としては、浣腸や採血をする、点滴の針を抜く、等が挙げられCの具体例としては、食事介助やオムツ交換等が挙げられます。
看護師が診療の補助が出来るということはつまり、医師や歯科医師が行う業務の一部も、医師や歯科医師の指示があれば実施できるということになります。
また保看助で記載している免許とは、
と決まっている通り「看護師国家資格」のことを指します。
業務独占資格:資格を持つ人だけに、その業務に従事することを認める
例)医師の資格がないと医業をしてはいけない名称独占資格:資格を持つ人だけが、その名称を用いることができる
例)栄養士の資格がないのに栄養士を名乗ってはいけない設置義務資格:資格保持者を最低1名置かなければならない
例)ドラッグストアで一般用医薬品(第二類・第三類)を販売する「登録販売者」技能検定:仕事上で必要とされる技能の習得レベルを国が認定している
例)ファイナンシャルプランナー、機械加工
看護師は「業務独占」「名称独占」の資格です。
看護師の免許がない者が「看護師」と名乗ってはいけないし、看護師の免許がないものが「療養上の世話」と「診療の補助」を行ってはいけないことになります。
看護師と一緒に仕事をする機会が多い資格として、管理栄養士/栄養士、保健師、理学療法士、作業療法士といった国家資格がありますが、これらは「名称独占」のみの資格です。
看護師が、管理栄養士と名乗って栄養指導をしてはいけませんが、看護師として栄養指導を行っても法的には問題ありません。
これも少しわかりにくいので、わかりやすい図を発見しました。
例えば看護師は、栄養指導も保健指導も理学療法も作業療法も実施することが法的には可能です。
しかし逆に看護師免許を取得していない栄養士や理学療法士などが療養上の世話を行うことは法的に不可能です。
以上がやや大雑把ではありますが、看護師の業務範囲です。
直感的に想像できると思いますが、看護師の業務範囲ってかなり広く、法的に結構色々出来ちゃうんですよね。
そもそも、療養上の世話と診療の補助の中身まで法律で明確になっていないので、多分果てしない数あるし、例えば手術(医師の独占業務)や薬の調剤(薬剤師の独占業務)、ツボに針を刺す(鍼灸師の独占業務)など明らかに「資格がないと出来ない業務」以外はほぼ全部「療養上の世話」と「診療の補助」のどちらかに当てはまると解釈できても過言ではないと考えられます。
そしてこの「療養上の世話」と「診療の補助」は、医師や歯科医師、それ以外の業務独占ではない医療職の業務も一部含まれているということになります。
患者さんのベッドサイドにいて患者さんの生活をみている看護師は、患者さんやご家族はもちろん、他の医療職から依頼される業務が非常に多くいわゆる「何でも屋さん」になりやすいのはこれが背景にあります。
ここで看護師と介護士の違いは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので補足しておきます。
介護福祉士(一般的に介護士と呼ばれることが多いです)は、
看護師と介護福祉士は「生活を支援する」という観点では同じ括りですが、介護福祉士が介護がメインであることに対して、看護師は療養がメインとなっております。
介護士は療養が必要ではない方の介護が出来ますが、療養が必要な方、つまり何かしら傷病がある方の生活支援は看護師が中心となります。
具体例を挙げますと、いわゆる高齢に伴い足腰が弱くなった方の歩行介助は介護士は可能ですが、点滴やバルーンなどのいわゆるチューブ類が身体に入っている方の歩行解除は看護師が実施します。
忙しい看護師をさらに大変で忙しくさせる要因
ここまでお話しした通り、大前提として看護師の業務範囲はかなり広いことに伴い、業務が多いだけでなく業務の種類も多岐多様です。
私は、この大前提にプラスして看護師をより忙しくさせている要因がいくつあると考えています。
業務内に占める間接看護の割合が高い
看護業務は大まかに分けると間接看護と直接看護に分けることが出来ます。
簡単にお伝えすると直接看護は患者さんに直接関わる業務、例えば注射を打つ、トイレ介助をする、内服薬の確認をする、などがあります。間接看護は直接患者さんと関わらない業務、例えばカルテに患者さんの容態を記録する、患者さんのリハビリに関するカンファレンスを作業療法士と実施する、などがあります。
以下のようなデータがあります。
これは看護師が行う業務の割合を示しています。
患者さんと接するという大きな括りを直接看護とするのであれば、直接ケア、処置・検査、投薬関連、環境整備は直接看護にあたり、それ以外は間接看護にあたります。
このように大まかに分類すると、大体ですが直接看護と間接看護が半分ずつくらいとなっております。間接看護も全ては患者さんのための業務なので、とても大切な業務であることは言うまでもありません。
しかしこの間接看護に関する部分はかなりアナログ管理な部分が本当に多く、正直必ずしも全て人力で行う必要がない業務も多々あります。そして多くの看護師が、この間接看護に関する部分を、就業開始前or後で実施しているのが現状です。
このような調査結果もあります。
看護師が就労前or後で何をしているかを調査した結果ですが、就労前後共に患者さんの状態や実施した処置やケア等をカルテに記載する「記録」が一番を占めていることがわかります。
間接看護をゼロにすることは出来ません。(というかする必要もない)
しかし、ここの割合は工夫次第でもっと下げることができます。
そうすることでなるべく就業時間内で業務を終えることができる環境を作るだけでなく、より患者さんと直接関わる時間を増やすことが出来るのではないかと私は考えています。
想定外が多すぎる
そもそも大前提として業務量が多いんです(しつこくてすいません)。
さらにそこに必ず想定外が起こります。
疾患を抱えている方が対象となると当たり前です。
急に体調が悪くなる、それに伴い処置が増える、薬が変更となると言うのは日常茶飯事です。
病院の場合、患者さんの人数が増えたり減ったりすることも多々あります。となるとそれに伴い業務量が増えるのは言うまでもありません。
また、人々の生活に関しても想定外も常に起こります。
というか人の生活を予想することはとても困難です。
トイレに行く回数だって日によって変わるし、ご飯を食べるスピードだって日によって違います。
予定なんかあってないようなものです。
つまり元々やらなければいけない業務にアドオンで業務が増えるのは当たり前です。
ちなみにこの想定外に伴い先ほど述べた直接看護が増えるだけでなく、記録や報告・連絡・相談といった役割調整に関する業務などの間接看護も比例して増加します。
常にマルチタスク
そもそも大前提として業務量が多いです(何回もしつこくてすいません)。
日本で看護師と患者さんの関係が1:1はほぼあり得ません。重症者が入院しているICU病棟でさえも看護師1人で患者さんを2人みています。
基本的には日勤で7:1、つまり看護師1人で7人の患者さんを受け持つ病院が多いのですが、病棟や病院の性質によっては10:1や15:1もあります。
夜勤は勤務する看護師の人数が半減するので大体2倍数の患者さんをみることになります。(余談ですが私は、患者さんを24人受け持つ夜勤を2年目で経験し、その夜勤が無事終了した後で大好きな つけ麺大盛りを一人で食べて帰宅したのを今でも覚えています)
常に2人以上の疾患がある方の生活を見て診療の補助をしているということは、常にマルチタスクです。
①1人の患者さんのトイレ介助をしながら、
②別の患者さんの点滴の終了時刻を気にしつつ、
③数分後にある別の患者さんの手術出しを気にしている最中に、
④PHSが鳴って医師から診察の介助につくよう依頼がある、
という言うことは日常茶飯事です。
人力だけは限界があるマルチタスクを看護師は常に実施しています。
常に時間を気にしつつ(私自身首からストップウォッチを常に2つ以上首からぶら下げて仕事をしていました)、周囲の状況を確認しつつ、患者さんやご家族の声にも耳を傾けているという状況は、一言で言うとめっちゃ疲れます。
常に神経をありとあらゆる所に研ぎ澄ましておく必要があります。
人命に直結する怖さ
ここまでの忙しい要因って正直、看護師以外の職種にも当てはまると思います。
例えば実際の営業活動と同じくらい日報を書くのが大変だったり、急なシステムダウンで顧客対応に追われたり、大事な会議がすぐに始まるけど、このメールの返信もすぐにしなくてはいけない、等どの業種でもあり得ることだと思います。
ここにさらにプラスで、「人命に直結する」は医療職独特の状況の1つではないかと考えています。もちろん、人命に係る仕事は世の中たくさんありますが、「自分の不注意や確認不足、ミスが目の前の人命に直結する」という業種はかなり少ないのではないでしょうか。
たくさんいる医療専門職の中でも、看護師は患者さんの生活を常に見守っている特質上、仕事中は常にこのとてつもない緊張感とある種の恐怖心の中で仕事をしています。
言い換えると、この緊張感と恐怖心からは逃げられません。
「少し遅れました」でその人の人生が大きく変わる可能性があります。
「ちょっとしたうっかり」で目の前の人が死ぬ可能性が常にあります。
何か忘れていないか、何か間違っていないか、何か見逃していないか、常に不安で怖いし、何回も何回も確認することでこの不安や恐怖を軽減させようとしています。
「経験が増えれば慣れるのではないか」という意見や考えもあるかもしれませんが、仕事をしている限りこの不安や恐怖、緊張感がなくなることはほぼないのではないかと考えています。
私個人だけで言うと、私自身は経験年数が上がれば上がる程、任せられる仕事の種類や量が増えたことに伴い、この恐怖や不安はどんどん増大しました。
また経験を踏めば踏むほど、怖い経験や、やばい経験もたくさん身近で見たり経験したりするので、より一層不安で怖くなりました。
不規則な勤務形態
これは外来勤務の看護師にはあまり当てはまりませんが、病棟で勤務している看護師の多くが不規則勤務をしています。
不規則勤務は皆さんの想像以上に身体への負担が大きいです。
「健康的な生活」と言えば、3食規則的に食事を摂る、早寝早起き、規則正しい生活を送る、と言うのがよく挙げられますが、これが何も達成出来ないのです。
頭がぼーっとするとか体がだるいという経験をしたことある看護師はとても多いと思うし、実際にこのようなデータもあります。
もちろんこの辺りのデータは看護師だけに限らず他の業種でも感じている方もいらっしゃると思います。
腰が痛いオフィスワーカーも多いし、目が疲れるエンジニアは多いかもしれません。(勝手な想像なので間違っていたらすいません)
「看護師だけが特別だ」とはこれだけでは言えませんが、明らかに他業種と異なるのは、このような自覚症状を軽減するための行動、つまり健康を維持増進するための行動を、そもそも起こしにくい前提環境があると言うことです。
人は何かしら体調不良を感じると、それをなくすために生活を見直してできることから実践します。早めに寝る、ご飯をちゃんと食べる、最低でも6時間は睡眠を確保するなどです。
しかしそもそも勤務形態が不規則となると、そうでない方よりも取れる行動、選択肢が減ってしまうのです。
よって他職種よりも健康を維持することが難しく、身体への負担は増大する傾向にあるのではないかと私は考えています。
夜勤のある仕事は一時期よりは減ったと言えども、看護師以外にも世の中にはたくさんあります。私もかなりお世話になっているコンビニもそうです。
個人的には夜勤はどの業種関係なく身体への負担が大きいと思います。
しかし一方で、今まで記載したように、大前提として業務量が多く多種多様で、夜勤もあって、常に人命に直結して、マルチタスクで想定外だらけで、実務と同じくらいそれ以外の業務をしている仕事はかなり少ないと考えていて、ここが看護師は他職種と比較して大変で忙しい要因の1つではないかと考えています。
ここまで読んで頂くと、看護師がいかに過酷な仕事であるか少し想像頂けると思います。次回の記事では、こんな忙しくて過酷な看護師の業務改善について記載したいと思います。
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