クロワッサンに思う事
☆ クロワッサンがいい顔で並んでます。
再び焼き始めましたとお知らせした事に、大変沢山の方が興味を持ってくださって、心から感謝しています
だから、しっかり襟を正して向き合っていかなきゃっと思う
何年も愛用している、襟首がビロンビロンに伸び切った、オッサン御用達のメリヤスの丸首Tシャツは、もうそろそろ脱ぎ捨てて
少し小マシな立ち襟の服でも買いに出かけようかなと思ってる次第です笑
焼く機会を重ねる度に、生地の様子を観察し、しっかり感じ考えながら食し、頼れる(鬼👹)批評家である奥さんの感想を聞きつつ、自分の好みやイメージと照らし合わせて、仕様変更を繰り返してます
そこで思うのは、数年に及ぶ放棄期間は決して無駄ではなかったって事
その間向き合って来た他のパンとの経験から、新しい視点を得たり、これまで気づかなかったことが見えてる
それは他のパンも同様で
手捏ねに拘って来た経験によって、それまでは意識のアンテナに引っ掛からなかったことが、今はビビビと来る
感性や直感を鋭敏に張り巡らして、見えないものを見ようとする
そして得た情報を元に、努力と思考を繰り返して下す自分の判断を信じて動く限り
世に無駄なんてない、
ほんとそう想います
前置きが長くなりましたが、今週末焼くクロワッサンも、ここ二日の焼き上がりの反省を経て、手を加えます
クロワッサンの美味しさのひとつにバターの香りがありますが
それには空気をしっかり含んだ蜂の巣状の内層が大きく関与してます
しっかり空気を含んでいることで、噛んだ際に、空気と共にバターの香りが押し出され、鼻腔を刺激するわけです
だけど再開からこれまでのクロワッサンは、そこに拘る余り、膨らみを優先して織り込むバターの量を基本の1/3から1/4に減らしてました
バターを減らして、酵母が発酵活動をしやすい環境を調える事で、酵母の出すガスで膨らみを作ろうと考えました
だけど結果は、全くと言っていいほど、自分の思う物には至らなかった
思っていた以上に、層になったバターに熱が入る事で発生する水蒸気による膨らみを作る力が必要だったって事です
結果、今週末焼く分は1/3バターを採用します
これ、古からあるバランス、なんです
いつも思う事ですが、長いパンの歴史に籍を置い来た、先人の積み重ねの尊さや洗練さには、脱帽しか無い
作り手としては、やはりエゴがある
、アイデアは試したくなる
だけど結局、先人が残してくれた基本のレシピには敵わない
自分のアイデアを、こんな斬新な事は今まで誰も思いつかなかっただろうと思った所で、それこそ星の数ほど居たであろう先人たちが、そんなのとっくにやっちゃってたぜぇーなんて思ってるはず笑笑
いろんな思想でパンと接してる方がいると思うけれど
僕には、パンの歴史を辿る事や、それを引き継ぐ事が、凄く心地よいんです
基本には、裏付けと意味がある
だから、これからも
パン屋らしいクロワッサン、
焼いていきます
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