エゴと美味しさと愛情
☆画像はパンオフリュイ。
一緒に並ぶ他のパンに比べて、沢山入った切れ込みが特徴的ですが、この様なカットをソシソンカットと呼びます。
ソシソン=ソーセージ
切れ込みの入ったソーセージと似ている事から、この名がつきました。
こうする事で、つるんとしたパンより、凸凹と起伏がある分、表面積が増えて、パン全体に占める外皮の割合が増えます
ガリリとした香ばしい外皮と、ジューシーなフルーツいっぱいの中身のコントラストが、この子の美味しさの秘密であります。
ソシソンカットの話で思い出したことがありました。
昔、会社勤めしてパン焼きしてた頃の事
上司(bon painで有名な彼の方です)の提案で、いつもとは違う趣旨の勉強会に呼んでいただきました。
そこで上司から出た宿題が、ソシソンカットの目的は?でした
若き日の私の、今より更に拙い知識をフル稼働し、本を読み(ネットなどまだ普及してませんでしたから)、あらゆるツテを駆使して聴き周る、聴き周る🏃♂️
で、前述した結論に至り、意気揚々と発表しました
ところが上司は、腑に落ちない顔で、ちょっと違うな、と言い、それはもう真っ直ぐな、本当にまっすぐな目で、こう続けました
「美味しくなるから、だろ」
その時の僕の拍子抜けした気持ち、伝わるでしょうか笑笑
乾いた笑いしか出来なかったですし笑
でも正直、その時はジョークにしか思えなかった
でも、今思うと、この差は凄く大きいんですよね
僕が調べて出した答えは、作り手の目線が殆どで、正直、エゴや自己主張、プラス上司に認められたい想いも笑、幅を効かせていました
でも上司の目線は、あくまでも受け手の気持ちを考えた目線
そこには、受け取ってくださる方への感謝と、それに応えるパン屋の仕事の在り方、そしてパンへの愛情がありました
共に行き着く結果や成果は美味しさであっても、この心持ちの違いは、受け取ってくださる方の心に響く想いとなって、パンに宿るんだと
コレが、あの日から15年以上経って、やっと今たどり着いた、僕の答えです。
ここから成果を写し込む生涯が始まります
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