窓の絵に込めたもの
陽が昇るのが随分とゆっくりになりました
夏の朝の感じも好きだけど
寒いなあと、ひとりボヤきながら
通りに面したお店のガラス窓が
パンが焼き上がる熱気で曇っていく様を眺めるのが好きで
なんだろう
もうパン屋になって幾度
黙々とパンを焼きながら
静かな街が、新しい1日を迎える様子を眺めてきたのかなって思います
思うところがあって
それまで焼いていた菓子パンや調理パンをやめて
大きくてゴロゴロした、シンプルなパンだけでこれからいくんだと決意したけれど
これがもう、すっとこ売れなくて
途方に暮れて心折れそうになったことが何度もあって
だけど負けないぞって気概を込めて
この大きな窓一面に、パンの絵を描いたんです
もうすっかり擦れてしまってるけれど
今もこの絵を眺めるたびに、あの頃の悔しさや不甲斐なさを思い出します
だけど、それは同時に、強い想いを以て、諦めず続けることの大切さを教えてくれます
もう直ぐこの絵ともお別れです
さて、次はどんな絵を、僕らは描くんでしょうね
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