世界一周29日目 モンドルキリ×MY FOOTBALL KITの話
5月19日
今日はカンボジアの首都プノンペンからバスで約6時間ほど離れたところにある「モンドルキリ」という地方で学校訪問をしました。
毎度のことながらカンボジアは運転の荒いドライバーが非常に多く、ハイスピードと急停止を繰り返しながらモンドルキリに向かいました。
モンドルキリに到着し顔を上げるとそこには木と土と道路がありました。
こちらが今回訪問させて頂く学校です。
約2000人の子供たちが通っていて、そのほとんどがバイク通学でした。
学校の中はこんな感じで、学校の先生や学ぶための教科書などは揃っていました。でもこの机や教室をみると、ラオスの学校に行ったときの過去とを思い出します。
ラオスの学校は壁に穴が空いていたりもっと悪かったですが、この子達にも近しいものを感じました。どちらかというとスリランカの学校の方が近いかもしれないですね。
これは余談ですが、学校内で売ってた謎のアイスがめちゃめちゃ美味しかったです笑
校内を一通り見て回ってたらちょうどみんなと授業も終わったので、午後からのサッカークラブに参加させてもらいました。
ここの学校に綺麗なグラウンドとゴールもあって、環境的にはすごく整えられていました。でも使っているボールがすごくボロボロで、空気も入っていないのでパスを出しても失速したり、狙ったところに上手く蹴れなかったりと慣れるまで苦労しました。
そんなことよりも今回僕が問題を感じたのは指導者の方でした。これはあくまで僕の主観ですが、選手の中には日本の高校でも十分プレーできる素質を持っている子も何人かはいました。
これは悪い意味ではなく率直な感想なので変に捉えてほしくはないのですが、僕が参加させていただいた今日の練習の中で成長できた部分がありません。
成長できるかどうかは選手の理解度とどれだけコミットできるかなので練習のせいではないのは当たり前のことです。それを差し引いてももっと改善できる点があるなと思いました。
今回この学校を紹介してくださったWorld Football Shipさんもこの学校では子供たちにではなくコーチ陣に指導法を教えるという形でサポートをしていくみたいです。
ポテンシャルがある選手たちがサッカーに対する理解を深め、より実戦に近い形で向上させていくためにはどれだけ試合を意識した練習であったり、基礎技術を上げることが大切なんじゃないかと僕は思いました。
なので地方から帰って来て、World fotball shipさんからコーチの方に対してアプローチをすると聞いた時すごく腑に落ちました。
カンボジアに来てサッカースクールのお手伝いをさせて頂いたからかもしれませんが、一つ一つの練習に試合を想定した背景があってそれにいち早く気づき意識を向けて取り組める選手が選手として伸びる速度が人よりも速かったり頭のいい選手だったりします。
別に上からサッカーを語りたいとかそんなことではなくて、僕自身も現役時代は感覚プレイヤーとよく怒られていましたしその体験があるからこそ"考える"ということがどれだけ重要なのか身に沁みて分かります。頑張ってやってた練習が実践でまったく生きないと気付かされる時のショックは大きいですから(笑)
今日たまたまそうだっただけかもしれませんが、今日の練習に"考える"というような要素はなくて基礎的なパスコンを低い意識で、試合で使い物にならないパススピード・距離感・テンポでやっていたのでそこが気になりました。
そんな中でも驚かされたのは、選手たちは練習の中のパスコンではめちゃめちゃパスが下手で、ボールが浮いたりトラップをミスしたり、パスがずれてボールを取りに行くってことがしょっちゅうだったんですが、試合になると綺麗にパスを回してポゼッションができていたんです。
なんで試合でそんなにパス回せるのに練習だとできないんだ!
って普通と逆のことでびっくりしました(笑)
瞬間的な頭の良さやボールの感覚は実は備わっていて、無意識ならいいパスが出せるってことなのかな?
でも感覚プレイヤーなら尚更、今後サッカーを続ける上でどこかのタイミングで必ず"考える"っていう壁にぶつかると思います。僕がそうだったのもありますし。
サッカーが終わったら次はMY FOOTBALL KITをプレゼントしました!
この子たちは環境的にも状態は良かったし、サッカーを通じてすでに仲間意識や夢を持つことで得られる心の強さを持っているように思いましたが、僕が今回この子たちにボールを渡したのには理由があります。
サッカーがもたらしてくれる繋がりと、自分自身に対する可能性を諦めないでほしいという想いです。
さっきも言ったように選手の中には日本の高校でも充分にプレーできるような選手もいます。でもモンドルキリは首都からバスで約6時間の場所に位置しており、チャンスは中々巡ってこないと思っている選手がいました。
そんな選手たちを見て、そんなことはないよと言いたかった。これは僕の自己満かも、綺麗事かもしれないです。それでも子供たち自分で自分を諦めてほしくなかったんです。諦めなければWorld Football Shipさんや僕のような人が来て君たちのことをちゃんと見てくれるってことを伝えたかったんです。
だって一生懸命にやってる人がバカを見る世界なんて地獄じゃないですか。頑張り続けるって大変だし、頑張ったからどうにもならないこともあるけど、辞めてしまったらそこまでなので。
今の僕には"諦めるな、頑張れ"ってことしか伝えられなくて、そのことに対して何の責任も取れない。そしてこういうことを考えるたびに「今の僕には...今の僕には...」って言い訳してる自分が浮き彫りになって、結局いつになったらできるようになるのかどうすればできるのかは浮かんでこないし。
現状を知るだけではもうダメ。
現状に絶望する時間は終わりにしないともうダメです。
子供たちのためにが一番に、そのことだけ忘れずにどの方向から自分が貢献"したいと思えるか"これを見つけないと僕はこれ以上前には進めないような気がします。
このモンドルキリで出会った子たちには、僕が今までのサッカー人生で使っていた練習着やシューズケースなどあげられるものを全部持っていきました。
僕のサッカー人生において何よりも大切で、美しいものです。
悔しさ、喜び、汗、挫折、雨、土、芝、泥、絆、思い出、全てが詰まった成長の記録です。
少しでも彼らのパワーになってくれれば本望です。彼らの夢ももちろんそうですが、自分自身の夢も全力で追いかけます。