相棒小林快との物語 第四話 〜んちわ。〜
前回のお話↓
小林快について、会った当初は興味を持っていたものの、競歩をやめるということで今後関わることはないだろうと思い、関東インカレで会って以来次第に気にしなくなっていった。
社会人一年目の8月、私は学生競技者の集まる競歩合同合宿に参加していた。
私の競技力が低迷していたこともあり、この年の夏は学生の合同合宿に参加させてもらうことになった。半分講師としての参加だったが、まだ選手だったこともあり、選手と同じ部屋に割り当てられることになった。
合宿所到着後、選手は数人ずつ部屋に割り当てられ、私は部屋に入った。
勝)こんにちはー
学生A)こんにちは!
学生B)こんにちは!
部屋に入り挨拶をすると、学生たちは気持ちの良い挨拶を返してくれた。
部屋にいない選手もいたが、指導者や選手に挨拶をするため私は部屋を出た。
廊下には立ち話をしている選手がいる。
年下の学生たちとは言っても、これから合宿を共にする選手だ。挨拶をしておくか。
勝)こんにちはー
学生C)こんにちは!
学生D)んちわっ。…あの子可愛いよな。彼氏いんのかなあ
1人は元気よく挨拶を返してくれた。もう1人の学生は、挨拶は軽めに、女子の話に夢中になっていた。
勝)ん?
私服で話すメガネの男はどこか見覚えがある。
勝)おい!
学生はキョロキョロ見渡すと、自分のことだと気づき、俺?という顔をしている。
学生D)んちわっ!
さっきよりは力強くなったが相変わらず軽快な挨拶をするその学生。
小林快だった。
…なんでおまえがここにいるんだよ!!
私は心の中で強めのツッコミを入れた。
なんと競歩をやめたはずの彼がそこにいたのだ。
ただ私は、その顔を見た瞬間は驚いたものの、彼が競歩合宿に参加していた嬉しさもありその会話に参加した。
女子の話はそこそこに、午後練習の時間が近づいてきたため部屋に戻った。
なんと同じ部屋だった。
もしかすると、競歩をなぜ再開したのかはこの時に聞いたのかもしれない。
なんにせよ小林快は再び歩き始めていた。
細かいことは省略するが、早稲田大学競走部内で話し合った結果、歩き出すことに決めたようだ。
私は心が躍った。
競技力が落ちていたとはいえ、拠点の福岡では練習相手に困っていた。インカレ4位のこの男なら練習相手になるかもしれない。
そして何より、この男の歩きを見るのが実に楽しみだ。
そして合宿は始まった…
第五話へ続く🚶♂️
次回、合宿スタート!!🔥
諸事情により更新はしばらく休ませていただきます!🙇♂️