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虫の声が聞こえるの日本人だけ?秋の風情を楽しむ

こんにちは。川嵜駿人です!
9月に入り、朝晩が涼しく過ごしやすくなってきましたね。
クーラーもピタッと使わなくなりました。

外では鈴虫の鳴き声も聴こえるようになり、「秋になったな~」と感じます。(まだ暑い日の昼間はセミが鳴いていますが。笑)

ところで、虫の声で季節を感じるのは、日本人独特の感覚だそうです!

日本人と外国人の脳の違い

東京医科歯科大学の角田忠信教授の研究によると、日本人は「虫の音」を左脳で受けとめているのに対して、外国人は右脳で受けとめているのだといいます。左脳は「言語脳」と呼ばれ、右脳は「音楽脳」「芸術脳」とも言われています。

つまり、日本人は「虫の音」を「虫の声(言語)」として認識しているのです。反対に、他の多くの民族圏の人にとって、虫の音は雑音として認識されるため、関心を示すこともなく何の虫が鳴いているのかも分からない場合が多いのだとか。

同じ音を聴いていても、認識が全然違うなんて不思議ですよね。

虫の声が出てくる日本の童謡

子どもの頃に誰もが一度は歌ったであろう「虫のこえ」という歌。
日本では、子どもの頃から「虫の声」に親しむ文化があるのですね。

あれ松虫が 鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ

きりきりきりきり こおろぎや(きりぎりす)
がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ

引用元:虫のこえ|世界の民謡・童謡

歌詞のなかには、松虫、鈴虫、コオロギ、ウマオイ、くつわ虫の5種類の虫が登場し、様々な鳴き声を奏でます。名前と虫の姿が一致する人は少ないでしょうが(川嵜駿人も分かりません)、鳴き声が聞こえてくると秋を感じる方は多いはずです。

虫の音に関する和歌を紹介

【古今和歌集】作者未詳
秋の夜の あくるも知らず 鳴く虫は 我がごとものや かなしかるらむ
(長い秋の夜を鳴き通している虫は、私と同じように悲しいのだろうか)

【万葉集】作者未詳
影草の生いたる野外(やど)の夕影になく蟋蟀(こおろぎ)は聞けど飽かぬも
(影草の生えている庭先の夕陰に鳴くコオロギの声は、いくら聞いても聞き飽きないなあ)

平安時代には、虫の音は貴族の風流な遊びだった

平安時代には、鳴く虫をカゴに入れて声を楽しむ風流の遊びが貴族の間で流行していました。

清少納言の『枕草子』では、「すずむし、松虫、 きりぎりす、はたおり」が好ましい虫として登場します。

また、紫式部の『源氏物語』にも「鈴虫」の巻があります。
巻名は、女三宮と光源氏が詠んだ歌によります。

【女三宮が詠んだ歌】
「おほかたの秋をばうしと知りにしをふり棄てがたきすず虫のこえ」
(秋という季節はつらいものと分かっておりますが、やはり鈴虫の声だけは飽きずに聴き続けていたいものです)

【光源氏が詠んだ歌】
「こころもて草のやどりをいとへどもなほすず虫の声ぞふりせぬ」
(ご自分からこの家をお捨てになったのですが、やはりお声は鈴虫と同じように今も変わりません)

鈴虫巻では、光源氏が女三宮の家の庭を秋の野の風情にしようと鈴虫を放つ描写などがあり、古くから日本では季節の風物詩として「虫の声」が楽しまれていたことがうかがえます。

また、江戸時代では、秋の野原で虫の声を楽しみながらお酒を飲む「虫聴き」という習慣もあったようです。

秋の夜長は虫の声に耳を傾けてみては?

現代の日本では、平安時代や江戸時代にみられた風習はあまり見られなくなりました。忙しい日々を送る中で、虫の声にゆっくり耳を傾ける余裕がない方も多いのかもしれません。

ですが、虫の声で季節の移り変わりを感じられるのは、日本人ならではです。たまには忙しさを忘れて、秋の夜長に「虫の声」で風情を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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