「ローカルという罠」③『銃・病原菌・鉄』からみる究極の要因って大切だよね編
ここ数年で「ローカル」関連のセミナー等が多くなってきたように感じる。いやただ、自分の周りにそういう知人が増えてきて、それをSNS上で見るようになっただけかもしれないですが。。
こういったセミナー等に参加して、ためになることが多い一方で、少し違和感を感じていることがあったり、そうはいってもなあと感じることも多くの人が思っていたりするのではないでしょうか。これはローカルの「実績がある人の知識やノウハウ」を「他地域に落としていく」という趣旨のものが多いと思うのですが、そのノウハウほんとにその地域に落とし込めるの?って話なのだと思います。
(※ちなみに先に言っておくと、中間組織やコンサル、都市部、地方を批判するような意図ではないです。各立場がそれぞれの領域に応じて、とても苦労や配慮をなさり、その苦労の上で事業やセミナー等を進めていらっしゃるのは肌で実感しております。)
「銃・病原菌・鉄」インカ帝国がヨーロッパを征服できなかった要因
ところで、最近ジャレドダイアモンドさんの『銃・病原菌・鉄』を久しぶりに読み、改めて人類史面白いなとなりました。(※いきなり本の話になるんですけど、少しお付き合いください笑 )
例えば、ヨーロッパが拡がりを見せた一部の理由に、農業の横展開のしやすい環境があったからとか。また、この本の帯にも記載されている「なぜインカ帝国はスペインに征服されてしまったのか。インカ帝国がヨーロッパを征服できなかったのか」という問いがなされている所は、特に印象に残っています。すごいざっくり、その問いの直接の要因として挙げられているのは、
・技術を横展開できる環境を持つもの持たざるもの、
・銃などの殺傷能力の高い武器を持つもの持たざるもの、
・病原菌および病原菌の抗体を持つもの持たざるもの
ということでした。
しかし、そこで大切な点は、この持つもの持たざるものとなった直接の要因を導き出す「究極の要因はなんなのか」と追求をしているところなんですよね。この本を読もうと思ったのは、現在の世界が新型コロナの影響を受けているからというのが大きかったのですが、そんなミーハーな気持ちを満たすだけではなく笑、現代の人の流れやノウハウの横展開にも、究極の要因を見つける姿勢が大切なのではと思いました。
ローカルという意味の使い方が混在してきている
冒頭に戻りますと、まず違和感がどこからきているかというと、それはローカルという使われ方が「狭域の地域」を指すことも多くなってきていて、地方のローカルという意味と混在して使われることが多くなってきているからというのは一つあると思います。
そして、こうしたセミナーにおいては、実績・スキルを持つ「ローカル」の成功者とそれを持たざるものの関係性になりがちです。ちなみにここのローカルの成功者とは、City of City、Local of City、City of Localの人が多い。そして明らかにLocal of Localの人が少ない(気がします笑)
同じカテゴリー内での関係性であれば、この成功者の直接の要因となる事例をマネしても成功するかもしれないですが、
往々にしてポジションが異なることが多く、事例の真似だけでは失敗する可能性が高い。仮にそれで成功するなら、その人がそのまま違う地域で自分でリスクとってやっていると思います。
究極の要因を探る
成功者がやってきた「事例」の話だけに目を向けるのではなく、そのまちづくりに挑む本質的な思考と行動の部分の話が大切なのだと思う。自分達で自分の地域を見つめて探っていかないといけない。『銃・病原菌・鉄』でいう、直接の要因ではなく、その要因を引き出す究極の要因を探るところかなと。いわゆる実績のある「ローカル」の成功者の話を聞くときには、そんなことを意識して聞かなければならないし、企画する側もその点は考えて設計しなければならない。(※一昨年ローカルベンチャーラボに参加をして、一人ひとり、そして地域と向き合う良い機会だったなと振り返って思っていてとてもいい機会でした。今年度はファシリテーターや研究員として参加させていただきますが、とても楽しみです。)
そして最後に、書きながら気づいたことがあります。人類史のような昔の時代においては違うかもしれませんが、現代において、こうした持つもの持たざるものの一番大きな差は、
「覚悟をもって思考し行動しているもの・行動してきたもの」と「行動していないもの」
ということなのかもしれないなと。
うん、少しづつでもいいから動こう考えよう。
まとめ
ローカルっていろんな意味がある。
成功事例はあくまで事例にしかすぎない。
自分自身の目で地域を見つめ、そして行動をしよう。
次回は、ローカルの罠のおまけ編として、4つに分けたときの人口や人口密度について悶々としたり、気づいたところもあったので、その時に考えてきたところをカジュアルに書こうと思います。
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