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Pinkie



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「それは翌日になったときかな。そのときはまた"今日"になっているだけだ」

「では明日というのはさらに翌日なのかな?それは昨日から見たらただの明後日だ」

「もし人がきっといいことがあるという"明日"に出会えるときがあるとしたら、それはいったいどんなときだろうね?」

ブギーポップ〝ホーリィ&ゴースト〟

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とある人は信頼に対してこういったという。
「わからないはずの未来に対してあらかじめ決定的な態度をとること」

去年はコロナ禍ということもあり、中止となっていたが、今年は少しでも春を感じてもらいたいということで、少人数ずつ桜を見に行くことになった。
中には一年ぶりの外出という人もいて、みんな思い思いにふけっていた。

そんな中、あるおばあさんと桜を見に行った。百歳を超え、もうほとんど何も食べることはなくたったおばあさん。唯一食べてくれる丸ボーロだけが僕らの救いとなっている。
おばあさんは小さな頃からお寺にお世話になっていて、常に感謝の姿勢を忘れず、いつも何に対しても手を合わせ拝んでいた。
終わりを否が応でも感じさせるその細い身体は、未だに衰えを感じさせないその仕草により、一層おばあさんの存在をみんなに焼き付けていた。

だからこそ、おばあさんには桜を見てほしかった。

今まで幾度となく見てきたであろうその薄紅色に輝く桜を、もしかたらもう来年は見ることが叶わないかもしれないからだ。

外に出てもおばあさんは相変わらずだった。手を合わすその姿は、外に出られたという今や非日常となってしまったこの状況に対しての感謝なのか、それすらも含めて全ての日常に感謝しているということなのか。僕にはわからなかった。

桜を目の前にし、おばあさんはハッキリと、か細い声ながらも、

「桜や…ッ!!」

声を出すこともままならなくたったその口から、力強い音が聞けたのは久しぶりだった。

しばらく桜を眺めた後、拾った花びらを、おばあさんは大事そうに上着にしまった。


明日はいつくるのだろうか。僕らはよく耳にする。よく声にも出す明日は、おばあさんには訪れないかもしれないのだ。無論僕らにも。
保証できないことに、しかし、僕らはそれでも希望をのせ、無責任にも信頼し、明日を人と約束する。
約束した人と、一緒に生きたいからだ。


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「明日ってぇのは…『今』のことよ…」


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終わることへの可能性を孕んだ、無責任さを含んだそのうえで、分からないはずの未来に対して意志を表明する。
おばあさんの今を大事にしたい。おばあさんと今を生きたい。そう思うからこそ、僕らはまた、約束する。


おばあさん、また来年も、一緒に桜を見に行きましょうね。

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