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金色に輝く



パリオリンピックが幕を閉じた。
世界情勢が思わしくない中、開催自体への批判もあった。
それでも選手たちの活躍を見て、やはり嬉しく思うこともある。

ブレイキンでは金メダルをとったAmiさん。下馬評からメダルはほぼ確実だろうと言われていたが、その通りにかっさらっていった姿は圧巻だ。

惜しくも逃したAyumiさん。僕らが現役時代の時からトップを走り続け、今なお最前線で活躍する姿は、涙腺にくるものがあった。

最も期待されていたのはシゲキックスだろう。子どもの頃から見ていたその踊りは、どんどん洗練されていき、もはや無敵に近い存在であった。だからこそ今回メダルを取れなかったことは、残念でほかならない。

そして今回、全ムーヴを通じて一番のONFIREをみせたヒロトさん。爆発したようなあの超絶ムーヴに、全観客が沸いた。結果のあとのブーイングが、彼の踊りの真価を世界が認めた証拠だろう。


彼らの勇姿をみて、誇らしくなったと同時に、ほんの少しだけ胸の奥がチクッとした。羨望と嫉妬の感情が、烏滸がましくもまだ心に残っている。

夢というほどでは無い。
ただがむしゃらに踊り明かしていた青春時代のその先に、栄光があったとしたら。

当時小さく儚く金色に光る、蛍のようなその輝きを、追わない振りをして、でも見逃さないように見続けた。いつしか金色の輝きは目の前から姿を消した。それと同時に、身体についた小さな傷。

とうに諦めたその輝きを、手にしているように見えた若い英雄たちをみて、なかったことにしていた傷にまた手を当てる。大丈夫、なくなってなどいなかったのだ。


その傷は、いつか見ていた金色の輝きと同じ色に光っているのだ。

そう思いながら、テレビの前で、金色に輝くメダルを手にした彼らに最大のリスペクトと拍手を。

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