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その下剤、本当に必要ですか?


暴言暴力を繰り返すおじいさんがいた。現場では所謂典型的な問題行動と呼ばれるものだ。
過度な訴えと険悪な表情から、皆が怖がり近寄り難い存在となってしまっていた。
なぜ興奮するのだろうか、色々探る中あることに気づく。
それは、毎日軟便が出ていたこと。
どうやら下剤の効きすぎだったようで、すぐさま調整
するとおじいさんはとても穏やかな方に変わっていった。

つまり、なんのことはない。おじいさんは、あえて言えばこちらの問題介護によって、問題行動が出ていたのだ。
自分の意志とは無関係に起こる排便に、どうしたらいいかわからず、こちらにコミュニケーションを訴えかけていたのだ。

とあるおばあさんはフロアに座っている時に、排便が垂れ流れてしまっていた。下剤の多用により、便意が感じにくくなり、そのまま出てしまっていたのだった。
そこで日々飲んでいた緩下剤を調整、簡単に言えば量が多すぎたのだ。今はほとんど飲むことなく、朝食後によく大量の排便をトイレで行っている。


悲しいかな、上の二つの事例はまだ業界ではマシな方なのかもしれない。
現場ではまだまだ、お年寄りを数や量で考え、午前中この時間までにオムツ交換10人、早く替えた人が優秀。という考えが蔓延っている。そして便秘は大敵とされ、常時下剤を服用してもらい(盛っていると表現してもいいケースも)、その多くがオムツの中での排便を余儀なくされ、なのに出ていることに対して煙たがられ、その人らしさは崩壊していっていると言っても過言ではない。もちろん、下剤が必要な方がいるのは重々承知している。今も適量わ使用している方もおられる。要は何のために使用するかだ。

もうやめにしよう。当たり前のことを当たり前にできる介護を目指そうぜ。
トイレに座ってスッキリ排便。その時のお年寄りの表情たるや、これぞ醍醐味というものだ。
本人の意志とは無関係に、オムツの中での排便を強要させるこの方法論には、もう終止符を打つべきなんだ。

その下剤、本当に必要ですか?

排泄は、出るもんではなく出すもんだ。

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