介護の世界
介護の業界は、昔と比べて良くはなっていってるだろうが、他の業界と比べると歩みが遅い印象を受ける。
いつの時代の介護やってるんだろうって思うことも正直多い。大病院併設の有名な老健に、歩いて入所したおばあさんが、ひと月後には踵に褥瘡作って、家族のせいにされるとか、まったくもって訳が分からないことも起きている。なんだろうこれは。
高校生のころからブレイクダンスをやっていて、僕らの時代ではこの技をやったら優勝候補!みたいな技をベテランの方たちがなんとか2回連続、とかが限界だった技があるる。
それが今では高校生の子たちがバンバンやっていて、クオリティも桁違いに上がっている。
技術の革新のスピードが上がったのはYouTubeの影響が大きい。僕らの時代は先輩から借りたり、ダビングにダビングを重ねたビデオテープが回ってくる程度だった。
世界的にも同様に、技の覚えるスピードは格段にあがっていて、得られる情報が均一化してるからだろうなぁと思っていたが…
だったら介護もそうなってないとおかしいよなって。
でもそうはなっていない。他の業界、美容業界だったり漫画業界だったりは、新たな業界や概念が生まれると、瞬く間に広がるのに、介護だけは一向に広まらない。この差はなんなのだろうか。
ずっと考えていて、ある時思ったのが、介護って当事者達の「承認の場」が圧倒的に少ないなぁと。
ブレイクダンスは例えばイベントなどで相手チームと交互に技を見せ合うが、バシッと音と合った動き(音ハメ)が決まるとえげつないくらい観客は湧きあがる。それは、その日その瞬間に集まった人達からの壮大な承認をその身体に受けるってことだなと。
その瞬間があるからこそ、みんなひたむきに夜な夜な駅とかに集まって遅くまで練習するんだな、得られる富と名声なんかはほぼ無いに等しいのに。
思えば美容業界でも、自分が行った行為(髪を切るなど)に対して、お客さんの笑顔だとか指名だとかでわかりやすい承認が得られる。
それはきっといわゆる労働に見合う対価以上の物を貰えるし与えることができるようになるってわかってるから、美容師さんたちも遅くまで練習するのかなぁと。
介護の世界はほとんどそれがなくて自己満足ばっかりだった。
嫌がるおばあさんを無理やり風呂に入れても、鼻歌混じりで上機嫌で入ってもらっても、入浴回数1回には変わりはなかった。少なくとも僕が働いていた職場でそれが評価されることはなかった。それは生活がそもそも評価しずらいってこともあるが。
生活が豊かになって自分で出来ることが増えると、いわゆる要介護度が下がって収入が減る。労働に見合う対価どころか下がっちゃう。それはみんな価値を探そうともしなくなる。
だから小さな承認の場、現場の成功事例を名だたる人が言うのではなく、現場どっぷりの人たちから発信して、これならうちのおばあさんでもいけるかもって思ってもらえて、さらにそれをみんなでシェアして、そこ自体を承認し合える場にして、それが全国各地で増えれば、まだちょっとはマシになっていくのかなと。
ただのよくある事例研究のような形ではなく、もっと気軽に、お年寄りの今を支えている、その小さなエピソードの共有と承認が、明日への良質な介護に繋がるんじゃないかと思っている。
なので色々な媒体に乗せて、小さな物語を紡いでいけたらと思う。介護の世界で悩んだり迷ったりしている方がもし見ていただけたら、同じように悩んで迷ってそれでも楽しんでいるやつがここにいるから安心してください、一緒に楽しんでいきましょう。
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