オーディオパワーアンプにおけるEMC対策の実装例
Wikipediaによると、電磁両立性(EMC)の対策として15項目あげられています。
EMC対策
機能接地
中性線接地の維持
電子基板の設計
静電シールド内蔵フォトカプラ
スナバ回路
PFC回路
ツイストペア
シールド線
ファラデーケージ
CRフィルター
フェライトコア
Yコンデンサ
差動・バランス線路
バリスタ
ラインフィルター
これらの項目が写真のオーディオパワーアンプでどのように実装されているのかを見ていきます。
まず、機能接地ですがこれは、写真の緑のケーブルで、左下のラインフィルターのアース端子と左から3列目の正負電源用CMCフィルターのFGを接続し、左右のヒートシンク上のD級アンプのスピーカー出力用CMCフィルターのグランドを接続することで実装しています。
中性線接地の維持は、3Pのコンセントのアース端子で実装しています。
電子基板の設計では、ベタアースの外周部分がループアンテナにならないように入力部、スイッチング部、出力部でブロックを分けています。また、尖ったベタパターンがないようなアートワークとしています。
静電シールド内蔵フォトカプラとしては、2列目LLCコンバータで2次側から1次側へのフィードバックに使用しているTLP2304はシールド内蔵です。
スナバ回路としては、スイッチング部につける場合もありますが、損失が増えるのと、臨界モードPFC、LLC共振ハーフブリッジ・コンバータ、ZVSデッドタイムのD級アンプで構成しているため、省略しています。
PFC回路は臨界モードを採用しています。
ツイストペアは、信号ケーブル、電源ケーブル、スピーカーケーブルなどで+-がペアになる部分はツイストしてあります。
シールド線は電源ケーブルに編み線が組み込まれているかもしれませんが、意識的には使用していません。
ファラデーケージは、筐体がアルミパネルの組み合わせで、パネル間の導通を維持するのが難しいため、意識的には使用していません。
CRフィルターはCMCフィルターやLPFなど随所に使用しています。
フェライトコアは、PFCチョーク、CMCチョーク、LLCトランスなどで使用されています。
Yコンデンサは、ラインフィルタ、CMCフィルターで使用されています。
差動・バランス線路は、入力信号部、電源入力部、スピーカー出力部で使用しています。
バリスタは使用していません。
ラインフィルターはACインレット一体型のものを使用しています。
というわけで、写真のオーディオパワーアンプでは、基本的なEMC対策がきちんと適用されています。