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治療家のための文化人類学~バイオメディスンと真理追求の歴史~


さて、

この「治療家のための文化人類学」シリーズでも
度々登場した【バイオメディスン】という言葉。

今回は、
このバイオメディスンと
その追求の歴史、

またその世界的課題について
解説していきたいと思います。




バイオメディスンとは

バイオメディスンとは
「bio-」=「生物・生命」を表す接頭辞
「medicine」=「医学」
からなる「生物医学」を指す言葉です。

臨床医学の中でも生物学に基づき、
“生存能力”を主に扱います。

これまで述べてきたように
世界のあらゆる医療や病気の考え方には
生物学に基づかないものも存在します。

例えばアイヌ民族は、
病気を「災厄の精霊による懲らしめ」と捉え、精霊に対して歓迎の式典を行うことが、天然痘への治療すら担っていたとされます。

1970年代マレーシアでは、
心理的な不満が蓄積すると「憑依」と呼ばれる集団ヒステリー現象が発生することで、人々の精神的な健康を保つ一助となっていました。

このような伝統的で文化的な、健康や体への考え方は、原因や効果のほどを生物学的に捉えにくい特徴があります。

生物学的に捉えにくいのは、
患者の体調不良に対して医療がありながら、霊・環境・自然・人間関係など患者本人以外との関係性を考慮する必要があるためです。

その点、バイオメディスンは「生物学」を土台に、患者本人の「生存能力」を物質的に詳らかにしようとする態度をもとに構築されてきたことで、現代において最も世界中で信用されている医療のあり方として存在します。






バイオメディスンが生まれるまで

バイオメディスンは
どのようにして生まれたのでしょうか?

その起源は古代ギリシアまで遡ります。

古代ギリシアは「根拠を持って物事を正しいと判断する」という志向をもとに、さまざまな哲学が唱えられた時代であり、どのようにして正しいと判断するか?を主題とした「真理論」があちらこちらで論じられます。

「普遍性」「永続性」をもち「全てに共通して正しい」。そんな「真理」を求めることで、他の哲学者の主張と一線を画そうとしたのです。


自然哲学の生まれ

古代ギリシア時代。
紀元前400年ごろのことです。

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