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#6「底なし天才沼」
「◯◯を探しているのはお主なのか」
この世界の最長老が尋ねた。
「はい、私です」
青年は答えた。
「探しているうちは、それはみつからない」
「どうしてですか?」
「◯◯は底なし沼みたいなものだからじゃよ」
「はあ」
青年は困惑したが、すぐに探すのをやめた。
◯◯は、人生の目的ではない。
そもそも、底なし沼に嵌るために生まれたわけではない。
青年は、最後に最長老に尋ねた。
「では、◯◯を知る手立てはあるのでしょうか」
「宇宙を知りなさい。宇宙は、底なし沼さえも包容している。」
(了)