カラオケでの“くすぐり地獄”
僕が大学生の時に実際にあった話をします。
※女の子の名前は偽名になります。
大学2年の夏休み真っ盛り。僕はサークル仲間とカラオケに行く予定だった。とはいえ、今回のメンバー構成には少し不安があった。僕以外は全員女子。男が僕ひとりという状況は珍しくはないけれど、気を抜くと彼女たちにいじられることが多い。
「大丈夫、大丈夫! 今日は普通に歌って遊ぶだけだって!」
「まあ、そうだよな」
そう自分に言い聞かせながら、集合場所の駅前に向かった。待ち合わせ場所には、すでに5人が揃っていた。梨沙、沙織、彩香、麻衣、美穂。みんな同じサークルの仲間で、それぞれ個性的だが仲が良い。梨沙はリーダー格でまとめ役、沙織は小柄でいたずら好き、彩香はおっとりした癒し系、麻衣は活発でノリが良く、美穂は冷静だけど笑いのツボが独特だ。
「さとしくん、遅いよー!」
麻衣が大きく手を振って僕を迎えた。
「悪い悪い。じゃあ行こうか」
6人でカラオケボックスに向かい、受付を済ませる。部屋は大きめのルームで、L字型のソファとテーブル、そして一面がテレビ画面といういつものレイアウトだった。
「今日は6時間パックね!」
梨沙がニコニコしながらメニューを広げた。さっそくドリンクバーのコップを手にして、みんなで乾杯をする。
「じゃあ、まずは誰から歌う?」
「私が最初に行くね!」
麻衣が勢いよくリモコンを操作し、アップテンポなポップソングを入れる。歌いながら軽く踊る彼女に、部屋中が一気に盛り上がる。続いて彩香がバラードを歌い、沙織が懐かしいアニメソングを熱唱。梨沙と美穂もそれぞれの十八番を披露して、最初の1時間は笑いと拍手に包まれていた。
僕も一曲だけ歌ったけれど、少し疲れを感じて、ソファで飲み物を飲みながら休んでいた。その時、沙織が僕に声をかけてきた。
「ねえねえ、さとしくん、なんか元気なくない?」
「いや、そんなことないよ。ちょっと休んでるだけ」
「ほんと~? なんかぼーっとしてる感じするけど」
沙織の言葉に、梨沙や麻衣も目を向けた。
「たしかに。さとしくん、今日はなんか大人しいね」
「もしかして、男1人だから緊張してるんじゃない?」
麻衣が冗談めかして笑うと、他のメンバーもクスクス笑い出した。
「いや、そういうんじゃなくて。ただ暑いからさ、ちょっと休んでるだけだよ」
僕は苦笑しながら答えたが、彼女たちの視線は怪しいままだった。
「ねえ、元気出す方法、考えちゃった!」
沙織が突然そう言い出すと、目を輝かせた。
「なに?」
「くすぐったら元気出るんじゃない? ねえ、みんなでさとしくんをくすぐってみない?」
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