ホープフルS(GI)全頭診断
12月28日(土)に中山競馬場で行われるホープフルS(GI)の全頭診断となっている。
これから行う全頭診断は A・B+・B・B-・C の5段階で評価する。
診断ポイント
①2歳戦は能力>舞台適性
2歳戦はキャリアが浅い馬同士の1戦で、既に世代重賞を戦ってきた馬もいれば、今回が重賞初出走の馬もいる。その為、各馬の勝負付けが済んでおらず、今までのキャリアでどのようなパフォーマンスを見せてきたかが重要。
本来ならばレースごとの適性を見極めることが重要だが、まだ1~4戦しか走っていない馬の適性を判断するのは不可能に近い。寧ろ不安材料として挙げた点が走ってみれば問題なかったということは多い。現時点での完成度の高さで不安材料をカバーできるのが2歳重賞である。
②開催最終週+急坂+2000m=タフな舞台
本レースは最終週に行われるので、芝がかなり荒れている状態。実際先週は最後の直線でほとんどの騎手が傷みの少ない外側を選択していた。
上記に加えてコースレイアウトはゴール直前に急坂、2歳戦では最長タイとなる2000mとかなりタフな舞台設定となっている。
その為スピード能力よりも、タフな馬場をこなせるスタミナや馬力の重要度が高くなる。血統や戦歴から本舞台から適性を見極めたい。
③先行馬多数+多頭数=差し決着の可能性
今回のメンバー全18頭のうち前走逃げた馬が3頭、前走初角2~3番手の馬が7頭と逃げ・先行馬が多数いる。また木曜時点で回避場もおらず、フルゲートでの開催も濃厚となっている。
その為ただでさえタフな舞台にも関わらず終始ペースが緩まず、差し脚質の馬で決着する可能性も十分ある。
全頭診断
(以下五十音順)
アスクシュタイン
前走の札幌2歳S(GIII・札幌1800m)では1.2秒差の7着も、ペースが速くなり先行馬には展開が向かなかった印象。
2走前のコスモス賞(OP・札幌1800m)ではスローペースで逃げて展開が向いたとはいえ2着に1.1秒差つけて1着。ただ当時の2-6着馬はその後勝利が無く、メンバーレベルは疑問(7着馬は心房細動)。
3走前の新馬戦(函館1800m)では2着に0.3秒差つけて1着も、スローペースで逃げて展開が向いていたので着順以上の評価はできず。ただ当時の2-3着馬はそれぞれ3走後に未勝利戦を勝利しており、メンバーレベルは極端に低くはなかった。
洋芝で2勝しているので馬力が問われる舞台は問題なさそう。ただスローペースの逃げに持ち込めないと脆い印象で、逃げ・先行馬多数の今回は前走同様展開が向かない可能性が高い。
【評価】C
アマキヒ
前走の新馬戦(東京2000m)では2-4着馬が4角6-8番手と差し有利の展開で逃げて1着と強い内容。ラスト3Fを11.6-11.3-11.1と加速ラップを踏めているのも高評価。1度は2着馬に交わされたところを差し返す勝負根性も○。当時の2.3着馬は次走で勝利とメンバーレベルも低くはなかった。ただ自身の上がり3Fは全体4位だったことや3-7F目は12.4秒以上と中盤がかなり緩んで名ペースの逃げができた点には注意したい。
タフな馬場への適正は未知数も、前走内容から能力は高く、カバーできる可能性は十分ある。あとは逃れずに控えたり馬群に揉まれたりした時に力を発揮できるかどうか。
【評価】B
アリオーンスマイル
前走の黒松賞(1勝・中山1200m)では0.8秒差の7着。前有利の展開が向かなかったとはいえ、内有利の馬場で終始内を通っていたことを考えると物足りない内容。
キャリアは地方含めて5戦で、馬券内は門別ダート1000m1着のみ。血統的にも短距離向きで、大幅な距離延長はマイナス。ダートをこなせる馬力は認めるも、純粋に力不足。
【評価】C
クラウディアイ
前走の京都2歳S(GIII・京都2000m)では0.3秒差の3着も、初角手前で進路が狭くなって位置を下げる不利があり、ラスト3Fが加速ラップとなって前が止まりにくいが故に後方にいた本馬に展開が向かず、直線でも外伸び馬場で1.2着馬よりも内を走っていたことを考えれば負けて強しの好内容。
2走前の新馬戦(中京2000m)では2着に0.3秒差つけての1着。超スローペースで前有利の展開だったとはいえラスト2Fが11.1-11.1は優秀。また当時の2着馬が次走で勝利とメンバーレベルも低くはなかった。
今秋の京都はスタミナや馬力が問われるようなタフな馬場だったので、前走の好走経験は本レースに活きる可能性は高い。あとは初の多頭数レースで力を発揮できるかどうか。
【評価】B+
クロワデュノール
前走の東京スポーツ杯2歳S(GII・東京1800m)では前有利の展開を活かしての1着も、後半4F45.9秒のラップや馬体重+24kgとかなり緩めの馬体にも関わらず勝ち切った点は高く評価できる。
2走前の新馬戦(東京1800m)では2着に0.4秒差つけて1着。勝ち時計の1:46.7やラスト5F57.3秒(11.9-11.5-11.3-11.1-11.5)はかなり優秀。上がりの脚も2位より0.5秒速い。また当時の2.6着馬が次走で勝利とメンバーレベルも低くはなかった。
キャリア2戦とも優秀な内容で、特に新馬戦はGI級のパフォーマンス。新馬戦の内容から高い後半持続力を証明できている。タフな舞台への適性は未知数も、父キタサンブラック×欧州牝系の血統構成はいかにもスタミナ・馬力に優れた配合。
現状逆らう要素は見当たらない。
【評価】A
ショウナンマクベス
前走の百日草特別(1勝・東京2000m)では1着も、超スローペースの前目有利の展開で着順以上の評価はできず。勝ち時計2:03.0も当日の未勝利戦より2秒も遅く平凡。
2走前の札幌2歳S(GIII・札幌1800m)では1.3秒差の8着。当日馬体重+18kgと馬体が緩かったとはいえやや負けすぎな印象。
3走前の新馬戦(東京1600m)では1着も、スローペースの逃げに持ち込んで前有利の展開を活かしていたので着順以上の評価はできず。ただ当時の3.4着馬は次走で勝利とメンバーレベルは低くはなかった。
キャリア3戦の内容からは能力の高さやタフな舞台への適性は見込めず。
【評価】C
ジェットマグナム
前走の芙蓉S(OP・中山2000m)では1着も、スローペースで前目有利の展開を活かしていたので着順以上の評価はできず。また当時の中山は高速馬場だったので勝ち時計2:02.8は平凡。
2走前のコスモス賞(OP・札幌1800m)では5.7秒差の7着も、心房細動を発症していたので度外視。
3走前の新馬戦(福島2000m)では展開の向いた前2頭を2位より0.6秒速い上がりの脚で差し切る強い勝ち方。また当時の2着馬は2走後に勝利とメンバーレベルは極端に低くはなかった。
前走や新馬戦の内容から上がりのかかるタフな小回りコースへの適性はありそうで、一定の能力値は認められる。ただ前走内容からGIレベルで通用するレベルかは疑問。
【評価】B-
ジュタ
前走の新馬戦(東京1800m)では2着に0.3秒差つけて1着。スタートで若干出負けしながらも二の脚を使って先行し、1800mの新馬戦にしては早目のペースにも対応するセンスの高さを感じる内容。勝ち時計1:48.0も優秀。
キャリア1戦で未知数な部分は多いが、ピッチ走法なので小回りコースへの舞台替わりでパフォーマンスを上げる可能性はあり。また血統的にはダートが合いそうな印象も、馬力が必要な本レースにはマッチする可能性あり。あとは能力でどこまでこなせるか。
【評価】B
ジュンアサヒソラ
前走の未勝利戦(東京2000m)では1着も、スローペースで前目に比較的展開が向いていたので着順以上の評価はできず。勝ち時計1:59.9も平凡。
2走前の未勝利戦(中山1800m)では0.4秒差の2着も、スローペースで前目が有利な展開を後方から徐々に捲っていく競馬だったので長く脚を使えていた点は評価できる。とはいえ着差的には力負けな印象。
3走前の新馬戦(新潟2000m)では0.2秒差の3着。前有利の展開を活かしていたので力負けな印象。
初勝利までに3戦かかっており、能力値は疑問。メンバーレベルが格段に上がる今回は厳しいか。
【評価】C
ジョバンニ
前走の京都2歳S(GIII・京都2000m)では0.2秒差の2着に好走。ただ後方から徐々に捲っていき、外伸び馬場で外を通るスムーズな競馬ができていたので、着順以上の評価はできず。
2走前の野路菊S(OP・中京2000m)では0.1秒差の2着に好走。最終コーナーのスパイラルカーブで外目を回る負荷のかかる競馬で好走している点は評価できる。
3走前の新馬戦(小倉1800m)では3着に0.9秒差つけて1着。加速ラップで締めた点から一定の能力の高さが伺える。また当時の3着馬は次走で勝利とメンバーレベルも低くはなかった。
2.3走前の内容から能力の高さは示している。またスタミナや馬力が問われた今秋の京都の好走経験があることからタフな展開も問題なさそう。ただズブい馬なので、ラストスパートで下り坂のある京都から中山への舞台替わりはマイナス。また初の多頭数レースで力を発揮できるかどうか。
【評価】B
デルアヴァー
前走の東京スポーツ杯2歳S(GII・東京1800m)では5着も、前有利の展開で後方から差してきて0.5秒差なら負けて強しの好内容。また当時の馬体重は+14kgと緩めだった。
2走前の新馬戦(福島1800m)では最終コーナーで1番外を回し、上位勢の中で唯一4角2桁番手から上がり最速を記録して1着と強い内容。また当時の3.6着馬が次走で勝利とメンバーレベルも低くはなかった。
キャリア2戦とも好内容で能力の高さは感じられる。また2走前の内容から上がりのかかるタフな小回りコースも合いそう。後方脚質は不安も、ペースが速くなって差しが決まる展開なら。
【評価】B+
ピコチャンブラック
前走のアイビーS(L・東京1800m)では0.2秒差の2着に好走。勝ち馬に最後差されるも、これは離して逃げていた3着馬を早目に捕まえにいった結果。また当時は馬体重+14kgと仕上がり途上の緩めの馬体だった。
2走前の新馬戦(福島2000m)では2着に1.1秒差つけての圧勝。超スローペースの逃げに持ち込んで前有利の展開ではあったが、加速ラップで勝ち切っている点は評価できる。
2走前の内容から能力は高そう。またキャリア2戦の内容や血統構成から速い上がりが求められる勝負よりも、上がりのかかるタフな勝負の方が向いている印象。よって今回の舞台替わりはプラスに働くだろう。
【評価】B+
ファウストラーゼン
前走の未勝利戦(京都2000m)では1着も、展開が向いていたので着順以上の評価はできず。勝ち時計2:01.7も稍重とはいえ平凡。
2走前の新馬戦(中京1600m)では0.7秒差の10着。前有利の展開だったとはいえ力負けな印象。
メンバーレベルが格段に上がる今回、能力が足りないか。
【評価】C
マジックサンズ
前走の札幌2歳S(GIII・札幌1800m)では道中6番手追走から4角で2番手まで押し上げるとそのまま押し切って1着。コーナーでの機動力を示した。また当時の2着馬は次走阪神JF(GI・京都1600m)を勝利しており、レベルの高い1戦だった。
2走前の新馬戦(函館1800m)では2着に0.3秒差つけて1着。内前有利の展開で道中6番手追走から徐々に捲っていき、最終コーナーで1番外を回しながら突き放す強い競馬。
キャリア2戦で高い能力を示している。またいずれも道悪の洋芝で機動力を見せて勝利しており、タフな小回りコースは全く問題ない。ただオール洋芝ではない良馬場でスピードがある程度必要とされたときどうか。
【評価】B+
マスカレードボール
前走のアイビーS(L・東京1800m)では2位より0.5秒速い上がりの脚で差し切って1着。ラスト4Fの加速ラップや勝ち時計1:45.8は優秀。馬体重+12kgの仕上げ途上の馬体で勝ち切っているのも好感。
2走前の新馬戦(新潟1600m)では1着も、差し有利の展開が向いていた印象で着順以上の評価はできず。勝ち時計1:35.8も平凡。ただ当時の2着馬は後にサウジRC(GIII・東京1600m)3着&京王杯2歳S(GII・東京1400m)2着に好走しており、メンバーレベルは高かった。
キャリア2戦で能力の高さは示せている。ただ前走後の鞍上が「コーナーでモタれる様な面」とコメントしており、コーナー4つの小回りコースへの舞台替わりは歓迎ではないか。また2戦の内容から速い上がりが問われる勝負の方が得意そうな印象。能力でどこまでカバーできるか。
【評価】B
ヤマニンブークリエ
前走の黄菊賞(1勝・京都2000m)では0.5秒差の2着。内前有利の展開を活かしていたので着順以上の評価はできず。また展開に恵まれなかった勝ち馬とは離されており、勝ち馬が次走の朝日杯FS(GI・京都1600m)で2着だったとはいえ着差以上の完敗か。
2走前の新馬戦(京都1800m)では1着も、差し有利の展開を活かしており、着順以上の評価はできず。ただラスト4Fが加速ラップなのは○。また当時の2着馬は次走で勝利とメンバーレベルは低くはなかった。
2走前の内容から一定の能力はあり。また今秋のスタミナ・馬力が問われる京都で好走できているので、タフな舞台設定は問題なさそう。ただ前走内容から重賞で通用するかは疑問。メンバーレベルが上がる今回どこまで通用するか。
【評価】B-
リアライズオーラム
前走の未勝利戦(東京2000m)では1着も、超スローペースの前有利の展開を活かしていたので着順以上の評価はできず。勝ち時計2:05.0も平凡。
初勝利までに4戦かかっており、能力値は疑問。メンバーレベルが格段に上がる今回は厳しいか。
【評価】C
レーヴドロペラ
前走の芙蓉S(OP・中山2000m)では0.1秒差の2着も、前有利の展開を活かしていたので着順以上の評価はできず。当時の決着時計2:02.8も平凡。
2走前の札幌2歳S(GIII・札幌1800m)では1.1秒差の5着。4角時点で10番手と位置どりが後方すぎたとはいえ力負けな印象。
重賞やOP戦での内容は強調できず。メンバーレベルが前走や2走前より上がる今回は厳しいか。
【評価】C
まとめ
全頭診断の結果をまとめると以下の通り。
【A評価】
クロワデュノール
【B+評価】
クラウディアイ、デルアヴァー、ピコチャンブラック、マジックサンズ
【B評価】
アマキヒ、ジュタ、ジョバンニ、マスカレードボール
【B-評価】
ジェットマグナム、ヤマニンブークリエ
【C評価】
アスクシュタイン、アリオーンスマイル、ショウナンマクベス、ジュンアサヒソラ、ファウストラーゼン、リアライズオーラム、レーヴドロペラ
以上。