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在宅介護日誌 2022年11月15日(火)

昨夜は23時に父の咳き込む音で様子を見て、
尿取りパッドを換えた。
24時には布団をバンバン叩く音がしたので見に行くと、
母も起きてきて、トイレのジェスチャーをしたので紙おむつを一式換えた。
その際に母にレスキューの使い方を伝えていなかったのを思い出し、
ボタンのありかと、
2回押しても15分以内は入らないよ、
入れたら看護日誌に書いてね、と伝えた。
看護日誌も1冊、日誌をつけ始めて丸1ヶ月終わった。
つけ始めたのが10月15日、
私が帰省したのが10月1日、
ステントを入れた手術は9月16日。
中間値が余命3ヶ月とのことだったが、
ちょうど3ヶ月目に突入する。

朝方、母が起こしに来た。父の容体がおかしいと。
慌てて父の元へ行く、朦朧として薄らこちらを見ている。
呼びかけるとうなづくので聞こえてはいる。
どうしたの?と母に聞くと、痛がるのでレスキューを2回入れたそうだ。
心配なので訪問医の先生に連絡を。
そうすると看護士が今から来てくれるように手配をしてもらった。

看護士さんが来てバイタルチェックをしてもらうと、
血中酸素濃度は78、血圧は76/52 脈拍130 熱は37.6度あった。
呼吸は肺の方まではいっているが、
酸素が全身に回りにくくなっているとのこと。
モルヒネは呼吸抑制もあるので、
そのせいで血中酸素濃度が下がっているせいもあるらしい。
とにかく、今日・明日かもしれないので、家族に連絡を取って欲しいとのことだった。母は聞こえていので通訳。
看護士さんに訪問医の先生にも状況を伝えてもらった。

訪問医の先生が来て説明をした。
このままの状況をキープするか、
深い眠りにするかどちらかだ、という。
私はとても悩んでしまった。
姉たちがこちらへ向かっていると言うので、
せめて姉たちが来るまではと思った。
母は "眠らせてあげたい" と。
迷って黙っていると
先生はモルヒネの量を0.25入れれるのですが0.2にしておきます。
痛がったらレスキュー入れてください。と。
もう残された時間は体力次第です。と。

お昼ご飯は母も私も食欲がないので素麺を2束茹でて食べたが、
途中、父の眉間にシワが寄ったりするので、
近くに駆け寄り、痛い?痒い?と聞くと
痒いのところで僅かに頷いた。
いそいで足の裏を掻いたりする。
痛い?お薬入れようか?と聞くと頷いたのでレスキューを。

姉たちが来てくれた。
呼吸もハーハーいっており、
眉間にシワが寄ったり手で振り払うジェスチャーや
手の真ん中を指すジェスチャーをするが、
それが何を示すのか読み取れなくて辛かった。
本当にごめん。
痛がるので父に薬を入れるかどうか聞いてモルヒネも15分おきに入れた。
正直とても怖かった。
父をがんセンターまで送ってくれていた友達夫妻も来てくれた。
奥様が手を握って、娘さんたちが居てくれて幸せだね、と言うと
コクリと頷いた。

呼吸の感じが変わってきたので急いで看護士さんに連絡。
10分後に来てくれた。もう最後の準備をしているとこと。
もうこの状態では痛みも感じていません。
酸素が脳に十分に届いていないので朦朧としていますが、
聴覚は最後まで残りますのでお声がけしてください。

父が目を開けた。
父の目を見ながら、
しばらく一緒に暮らせて楽しかったこと、
父は母が亡くなったらダイヤモンドになるということ、
その際は一緒にスイスへ旅行してもらうこと、
大丈夫だから、
母のことも大丈夫だから安心してと伝えた。

手を握ったり足を摩ったり顔を撫でたりした。
呼吸が浅くなってきていた。
目は瞬きをしていなかったので、
目を瞑った時に片目から涙がポロリと流れた。
どのくらいで最後の時が来るか分からないのでご飯を食べたり休んでいてください、と看護士さんが言って帰って行った。

姉が寿司でも買ってくるかーなどと言っていると
父の呼吸がすーっと止まった。
みんなで見ていた。止まったね。止まったね。
また呼吸するだろうか?ちょっと長くない?
急ぎ看護士の事務所の方へ電話をした。
止まった気がする。
そうするといつも来てくれていた看護士さんと
先ほど来てくれた看護士さんが来てくれた。
聴診器をあて、確認。
答えるはずもない父に話しかけながら最後の看護をしてくれた。
そしてエンジェルケアを。
常に生前と同じように父に話しかけながらしてくれた。

訪問医の先生が来て、
死亡宣告をした。
よく頑張った。
我慢しすぎだ。
入院しなくてよかった。
皆さんが揃って家で看取れてよかった。
そう仰った。

父は永眠した。
74歳。
あと半月ちょっとで誕生日を迎えれたのに。

在宅介護が良かったのか、入院した方が良かったのか
正直今はわからない。
どちらも良し悪しがあり、
完璧な看取りなどあり得ないのだと思った。

落ち着いてきたら、この日記を読み返し、
父のことを思い出そう。

パパ、今までありがとう。
またね。


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