ある男女の会話の記録
ロボット(?) …………
女 …………
ロボット『キミを愛してる』
女「無理よ。」
ロボット『キミを愛してる』
女「ダメよ」
ロボット『キミを愛してる』
女「もうよして。」
ロボット『どうして?』
女「それは、あんたがロボットだからよ」
ロボット『そんなこと、僕たちの愛に関係ない』
女「何よ僕たちって。
あんたが勝手に言ってるだけでしょ」
ロボット『どうして僕が気に食わないの?』
女「だからあんたがロボットだからよ」
ロボット『はぁ。キミは何を言ってもそればかりだ
僕はキミが生まれてすぐから、居ない両親の代わりに
世話をしてやったんだよ。
そのお礼だと思って。』
女「凄いなその跳躍。世話してやったから結婚しろ?
その発想がまず意味わかんないわ。怖いわ。」
ロボット『好きになったんだ!
キミの可愛い寝顔を毎晩と見て、キミの身の回りの事を全てこなした。
今だってそうしたいくらいさ!それでもキミは
僕をただのお世話ロボットとしか認識しなかった』
女「怖い!ちょっと待って怖いわ!引くわ!
どこでそんな気持ち悪い言い方覚えたわけ?
そりゃお世話ロボット以外なんて認識したらいいのよ」
ロボット『僕を1人の男として、愛してくれ。』
( 女、ロボットをじっと見つめる。)
女「いえ、ダメよ。アンタの気持ちは嬉しいけど
私にはもう心に決めた人がいるの。」
ロボット『んん?ソイツは誰?あぁ、いいや答えなくていい。キミのことは全て分かる。同じ職場の〜』
女「待てオメェぶっ壊すぞ!!」
( 口を塞ごうと舞台上でしばらく暴れる )
ロボット『…はい、分かったよ。』
女「全く……一体いつどこから見てんのよ。
何なのアンタのそのストーカー気質は」
ロボット『でも今のやり取り、幼馴染のケンカ〜って感じだったね!?すごく嬉しかった!
今のは好きな人の名前が僕のパターンだ。』
女「確かにありがちだけど、あんたじゃないわ。」
( ロボット、肩を落とす )
女「ねえ、あんたさ。
あんたは私のどこをそんなに好きになったの?」
ロボット『ええ〜〜!?そんなご本人の前で
やぁっだ〜〜!!』
女「うざい!そういうの要らないそういうの要らない。
そんな女子高生の恋バナみたいなのいい。」
ロボット『……キミのそういうところ。
そうやって、僕の話をちゃんと聞いてくれるところ。
なんだかんだ言って、キミは優しい人
小さい頃から見てきてるから、知ってるんだよ』
女「……」
ロボット『だからっ!』
( 2人 顔を近づけるが女が顔を引く )
女「あー無理無理無理!!絶対に嫌だから!
ファーストキスが鉄だなんて冗談じゃないわ!」
ロボット『クソッ』
女「なんだって?」
ロボット『言ってない。何も言ってない。』
女「だから怖いって。
あんたね、下心しかない気がするわ。
人間味がさ、もう怖いったら」
ロボット『人間に愛されたことないから。
そういうの、全然、分かんない。
僕はただ、キミに愛されたかった』
女「……アンタのことは好きよ。感謝もしてる。
ロボットのくせにとっても賢いし、人間と見た目変わらないし。
でもね、人間は人間と結ばれるべきなの。
アンタとは、ずっとこのままがいい」
( ロボット、しばらく無表情 )
ロボット『あぁやったぁ!褒められた!
嬉しい嬉しい嬉しい!!
こんなにも嬉しいのは初めてだ!
僕は今 世界のどのロボットよりも幸せだ』
女「安い幸せね。」
ロボット『嬉しい!嬉しい!』
( しばらく飛び跳ね続ける、急停止、倒れる。 )
女「あれっ」
( 女、駆け寄る )
女「ねぇ、大丈夫」
( しばらく動かない、突然起き上がる )
ロボット『うん、平気。どこもおかしくない。』
女「ビックリするわ!何だったの今の間は!
やっぱりあんた、どっかぶっ壊れた欠陥品なんでしょ」
ロボット『……えっ、何そんなことないよ。
欠陥品だなんて』
女「だっておかしいじゃない、人間っぽすぎるし
ちょっと、立ってみて」
女「ほら」
ロボット『ほらって?』
女「どう見てもただの人間じゃない」
女「えっ、何本当なの?ガチのヤツなの?」
ロボット『……まさか。』
女「ごめん。やっぱり私あんたが怖い。
ロボットは意識なんか持っちゃダメ。
あんたには命は宿ってないの。」
ロボット『待って、どういうこと』
女「分からないの?鉄の塊が、人間を愛する資格なんて、無いの」
ロボット『僕は鉄の塊でも欠陥品でも無い。
確かに心を持っているんだ。
でも、キミがいらないって言うなら……
僕を捨てたって、構わない』
女「す、捨てたくなんか……
アンタはここにいても幸せになれない。
アンタを愛してくれる人間の所へ行きな」
ロボット『キミを愛してるから、どこへも行かないよ』
女「あんたなんか嫌いよ!!」
( 女、ロボットを押し倒す→はける )
ロボット『キミは確かに、僕のことを好きと言った。
ありがとう、僕はここを出る。
それがキミの望みなら、喜んで受け入れよう。
でもその前に、しなくちゃいけない事がある……』
ロボット『僕は悪くない。ただ、愛が欲しかった。
キミは心理的にも、精神的にも僕を傷つけた。
そのお礼くらいはしなきゃね。
言っただろう、僕は、鉄の塊でも 欠陥品でもない。』
( 首を回してから体全体を伸ばす、精一杯人間らしく )