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別に愚痴ればいいじゃんっていう話|秋葉古道の旅#3

世間と1週間ぶりに接触した時の違和感

秋葉神社鳥居下から

歩いて6日目の夕方、ようやく目的地である秋葉神社に到着した。

森に囲まれた静かな駐車場を抜けると、豪華な社殿が姿を現した。同時に、周辺に響き渡る重機の音が次第に大きく聞こえてくる。翌日に火祭りを控え、忙しくしているのだろう。

次第に存在感を増す人工の音・景色に違和感を覚えた刹那、ふっと我に返った。「そうか、終わりか」と、途端に冷静になる。何かから覚めたような感覚だ。

境内を進んで拝殿へと向かう最中、若い女性3人組の会話が聞こえてきた。ありとあらゆる物事に対する、愚痴のオンパレードであった。小奇麗に着飾った見た目とは裏腹の不穏な内容だ。その後すれ違った別の2人組の会話も大体似たようなものだった。社務所の近くを歩く母子も、そこに居ない父親の愚痴で盛り上がっていた。

「こういうのが普通だっけ?」

秋葉神社の表門

そう猛烈な違和感を感じながら、長い長い階段を下り、タクシーが待つ大鳥居へ向かう。この6日間、他人に対する不満が噴出する瞬間は一度たりともなかった。
「世間ってのは、こうだったかあ…」そう脳内で反芻し、しみじみとつまむチキンラーメンの塩辛さを今でも鮮明に覚えている。

そして現在

旅を終えて2か月が経とうとしている。
果たして自分は愚痴とは無縁の生活をしているか?

答えはノーだ。

愚痴を吐くとマジですっきりする。間違いない。
人と関わってれば、どうしても愚痴は湧いてくる。
愚痴るだけ愚痴って、忘れて、明日から頑張ればいい。

愚痴がダメだっていうのは正論でしかない。
今更、偉そうに言う事じゃない。

そう、あの時の俺は、山帰りの脳みそチキンラーメン野郎だったってワケ。
正論もホドホドに。


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