ねこまた
毎年恒例のワクチンを打ちに、ネコとドライブした。今日も日が強かった。暑くないか、寒くないか、と声をかけながら空調を気にかける。曲がるたびに、大丈夫か、進むたびに早くないか、と声をかける。にゃん、にゃんと姿勢を整えながら答えてくれる。
かかりつけの獣医さんは、優しいおじいちゃん先生である。今年で19歳ですねぇ、と穏やかにおっしゃる。
帰り道。長生きしてえらいな、来年も一緒にドライブするか、と話かけた。にゃん、にゃーん、と目を細めて、のどを鳴らしてくれた。
うちに帰って妻と話した。19歳かぁ、と感慨深げである。このまま、ねこまたになるかなぁと話した。
世界の長寿ネコはアメリカの雌ネコちゃん。2015年現在の記録で、38歳3日とのこと。人間の年齢に換算すると、170歳になるらしい。
その一方で、一週間前まで元気だったのが、一転して排泄しない、食べない、と急に亡くなってしまうこともあるという。
うちのネコちゃんは雌。是非ともギネス記録を更新してほしい。38歳まで生きるならば、まだ半分だものね。
もちろん、この数年、高齢ネコちゃんとなったから、妻と死後の後も話している。覚悟はしている。死の覚悟と38歳3日のギネス更新を願う気持ちは、相反してみえるが、どちらも一つ。強い愛情だ。
実際に亡くなったら、妖怪猫又となり取り憑かれてしまったっていいから、そばにいてほしいと、そう思うだろう。大切は代わりがきかないんだから。
けれど送るのだ。ありがとう、と。
今、見ると、さっきあげた、ご飯をカラにして、満足そうに眠っている。ワクチンの影響はなく終えて良かった。また明日も、腹が減った、かまってくれ、と鳴くだろう。その声が、たまらなく聞きたい。