夏祭りの通り魔
最近何かと話題に上がるSNSにおける「誹謗中傷」問題。
僕はネットとの関わり方に気をつけており、そもそも有名人でもないので炎上したことや誹謗中傷を受けたことはありません。
このことについて考えた時、ふと蘇ってきた幼い頃の記憶があります。
それは僕が小学校低学年の時です。
その日は小学校の夏祭りの日で、運動場には出店が立ち並び、浴衣を着た多くの人々で賑わっていました。
夕方、僕は父親の手をにぎり一緒に運動場を歩いていました。
多くの人とすれ違い、時々同級生と遭遇します。
日常とは違う、祭りの雰囲気に胸が高鳴りました。
雲ひとつない空を見上げると、昼と夜がバトンタッチをするところでした。
西の空には暖かなオレンジ色が広がり、東の空には星が明かりを灯しはじめています。
その時、全く顔の知らない年上の男の子二人組とすれ違いました。
「あ、囃だ」
「ああ、キモイよな」
僕はその瞬間、息がつまるような感覚に襲われました。
当時僕は髪を伸ばしており、女の子と間違えられることもよくありました。
そんな僕の姿が気に食わなかったのか、高学年のちっとも知らない男の子にそう言われたのです。
いや、僕に直接言ってきたというより、彼ら二人の中で完結していた悪口を僕が耳にしてしまった、という方が正しいのかもしれません。
父には聞こえていなかったようです。
心臓の鼓動が早くなりました。さっきとは違う、胸の高鳴りです。
まるで自分の血が真っ黒になり、ドロドロになって血管をゆっくりと流れていくような気がしました。
父とつないだ手の感覚もなくなっていき、全身の力が抜けていくのがわかりました。
いきなり飛んできた悪口。
すれ違いざまに耳に入った汚い言葉。
そんな素性も知らない人から言われたことなんぞ、気にするだけ無駄だと今になって思います。
しかし大人になっても僕らの心は本質的に少年のままです。
もし今そのような出来事が自分の身にふりかかったとすると、頭では「気にしない」とわかっていても、心はきっとあの頃と同様に深い傷を負います。
負の言葉は自分が思っているよりも尖っています。
SNSが発達して誰もが自由に特定の個人に「物申す」ことができるようになった今、もう一度考え直す必要があります。
夜道を一人で歩いている時にいきなり通り魔に刺されるようなものです。
いつやってくるかわからない。相手が誰かもわからない。そしてそれが一回きりではありません。
自分が発したその一言は、相手にとっての何万もの言葉です。
僕が幼い頃に負った傷の跡は今になっても消える気配がありません。
どうか送信ボタンを押す前に、想像力をはたらかせてください。
お互い気をつけていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます。
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またお会いできるのを楽しみにしております。