乱読のすゝめ【超圧縮地球生物全史】
別に帯のジャレド・ダイアモンド超絶賛の文字に釣られたんじゃないんだからね。
「著者は万華鏡のように変化する生命のあり方をエキサイティングに描きだす。全人類が楽しめる本だ!」などとあるがジャレド・ダイアモンドの言うことだあてにはなるまい。私は疑念を抱いたまま本を手に取った。
超圧縮地球生物全史 ヘンリー・ジー著 竹内薫訳
さて超圧縮地球生物全史と称するこの本。圧縮しすぎである。38億年を一冊にまとめる無茶ぶり頭の整理が追い付かない。タイムスケールが最初から最後までつかみきれない。何気ない一文で一億年を語ったりする。
生物の誕生から始める進化の歴史であるが、生物の進化は意思を持たない、偶然の変異と淘汰の歴史であり、尻尾が邪魔だからなくしたとかではなく、尻尾がなくなった種が生き残ったのである。進化とはそういうものである。
単細胞とか原始の生物は進化の意思どころか、生物の意思も存在しない。
そんな生物が細胞分裂の末に突然変異と淘汰を無限のごとく繰り返し進化していく。そこには意思はなくひたすら偶然の積み重ねである。
進化の基本である。
しかし読み進めるうちに、生物は意思を持って進化しているような錯覚に陥る。偶然性の部分がおざなりになって描かれだすのである。そらそっちの方が書きやすいもん。分かるよ。分かる。でもそこ大事ちゃうん。
でも仕方がないよね。進化を追うとあっという間に100万年進むんだから。
で、圧縮しすぎてるからなんか知らん古生物ばかり出て頭に入っていかない。そんな中、自分が思っていたのとちゃう内容があったのでちょっとそこだけは印象に残った。獣弓類から哺乳類への進化が3度起きていることである。カモノハシと有袋類と有胎盤類の3つがそれぞれ別で進化している点が意外だった。てっきりカモノハシから有袋類が別れ、有袋類から有胎盤類に進化したのだと思い込んでいた。
進化が一本道ではないのは分かっていたが、哺乳類という大分類の大本が別々って意外だと感じた。
正直、この一点を除いてほぼ全ての知識は忘れた。残念だがね。
どうでもいいことだが、この本は大量の注釈がつけられている。2割ぐらいが注釈である。
その大半は論文よりの引用やであることが示されているか、ちょっとした補足である。はじめ普通に無視して読み進めていた。
脊椎動物の章で、『脊椎動物は一生のうち、一か所に留まって過ごす期間はほとんどない。』って部分に注釈がついていた。
ふと何だろうと気になり、注釈を引いてみた。
『猫以外』
しまった。
ちょいちょいコボケを挟んでやがる。
仕方がないのでそれ以後は注釈のチェックも欠かせなくなってしまった。